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総括答弁

坂内三夫事務局長

 幹事会を代表して総括答弁する。全労連運動の前進や、組合民主主義を大切にする運営でによって、71名の代議員が発言した。大阪労連の草薙代議員からは第2号議案にかかわって文書発言が提出されている。

 発言は基本的には、全労連運動10年の到達点を踏まえて、21世紀にむけて全労連運動の本格的な前進のために何が必要かなどについて積極的な補強意見だった。発言を今後の運動にしっかりと反映させていきたい。みなさんに感謝申し上げる。

 1989年11月21日、吹き荒れる右翼的再編のなか、全労連と連合という2つのナショナルセンターが誕生したとき、政府・労働省は、全労連の組織構成を無視して、組合員を80数万人と数え、100万人を超えないナショナルセンターは認知しないという施政をとりつづけていた。中労委や地労委、80余のすべての審議会、ILOの代表から排除するとともに、全労連を無視する態度をとりつづけてきた。

 それから10年が経ったが、情勢は楽観を許さない。栃木の武藤代議員発言にあったように、厳しい情勢は望みもしないのに続くものだ。また広島の永見代議員が発言したように、この間の多くの期間は逆風のなかでのたたかいだった。国際情勢、国内情勢は必ずしも順風満帆ではなかった。しかし困難な情勢のなかで、地べたをはうような日常の活動を積み重ねながら、その困難を克服し、希望に輝く未来を信じて歯を食いしばってたたかいつづけてきた。小成に甘んずることはできないが、私たちは、情勢をみずからのたたかいで攻勢的に切り開いてきた。

 こうしたたたかいのなかで、労働省は、組合組織人数を変更することになった。地方組織に参加する組合員もカウウントするという方向に踏み出した。この結果、40万人前後が増え、120万人前後の労働団体として発表されることになりそうだ。100万人を超えないナショナルセンターは認知しないという態度への一定の変更だ。いよいよ全労連が現実の動きにかかわって社会的な評価を厳しく求められることになる。この到達点は、この10年間、一致する要求での団結、資本からの独立、政党からの独立の原則を貫いてたたかってきてかちとったものだ。

 本大会でだされた具体的運動にかかわわる意見について幹事会の意見をのべる。  ほとんどの代議員の発言が活動の実践報告にとどまらず、全労連への要望を含むものであった。すべてに答えるわけにはいかないので、答弁もれがあるかもしれないが、ご了承願いたい。

 賃金闘争については17名が発言した。かつてない活発な討論だった。「大幅賃上げ要求という基本路線を転換したのはなぜか」「要求を引き下げるのではないか」など、幹事会の意向とは違う意見もあった。議案がこういう誤解をあたえるような不十分さがあったことは率直に認める。

 補強部分の提案説明でも強調したが、幹事会の提案の内容は春闘の重要性を否定するものではない。労働者の賃上げこそが不況打開の不可欠の条件であり、大企業の内部留保の社会的還元という国民的大義をかかげる春闘方針にいささかの変更もない。この基本路線とともに、すべての労働者を視野に入れた賃金底上げを、多くの労働者の気分とマッチした新たな春闘を構築していこうという提案内容だ。多くの発言があったが、その討論内容を踏まえ、大いに討論を続行することを呼びかける。当初の提案が、全労連として平均賃上げ要求はかかげないという内容になっていた。大いに討論を続行していきたい。全労連として具体的にどういう要求をかかげるかは、討論を踏まえて決めたい。評議員会、春闘討論集会でも十分論議し、全体が団結できる方針を提案したい。

 大阪の服部代議員をはじめ、全労連の賃金政策の確立についての発言があった。東京の永瀬代議員からは、最低賃金闘争の全国交流集会の開催の提案があった。前向きに検討する。

 雇用・反失業闘争について。

 山口をはじめ、全国的交流集会の要望があったが、10月31日と11月1日に開催する。この課題に関連して補正予算で2000億円の「特別交付金」が実施されることになった。この評価と活用について建設一般、大阪、熊本から提案があった。かつて竹下首相のときにふるさと創世金として1億円のバラマキがあったが、全労連は、雇用問題にこそ財政措置をとって、雇用創出基金の設置を要求してきた。リストラの受け皿としての危険な側面をもっているが、実施されることになった。労働者の採用期間が6ヵ月、予算措置が2年と制限があり不十分だが、全労連予算の300年分にあたる。自治体の単独事業を上乗せさせて、拡充していくことが必要であり、公的就労事業復活の契機にしなければならない。要求を早急に具体化することが大事であり、この点で、千葉の矢野代議員、奈良のイノウ代議員の発言にあったように、網の目キャラバンの前倒しが重要である。熊本からはすでにこのキャラバンにとりくんでいることが報告された。前倒しして、出足早くとりくもう。各地方での要求を早急に具体化する努力をお願いしたい。

 大企業にたいするたたかいについて。NTT、宇部興産、オムロン、島津製作所、高見沢電機などさまざまな経験がだされた。自交総連、栃木からもたたかいの経験がだされた。再度実態を掌握し、たたかいの方向を明らかにしていきたい。  労働者の権利擁護、働くルールの確立の課題については、国公労連の指摘、全労連女性部からの発言などがあった。労働法制の改悪は、労組法の改悪、不当労働行為のとりあつかいを含めてこれからが本番だ。こういう認識でたたかっていきた。

 中労委・地労委の民主化闘争、国鉄闘争でも積極的発言があった。ILOへの要請行動を早急に実施することや11・17国鉄集会の成功を含め、秋の重要な課題に国鉄闘争を含め全力をつくす幹事会の決意をあら表明する。

 介護・年金問題について、自治労連や年金者組合などから発言があった。労働組合の社会保障闘争は、まだまだ立ち後れている。21世紀をひかえ、社会保障闘争は、国民的闘争の最大の争点として、日本の労働者労働組合にとって21世紀の最重要課題の一つだ。全国網の目キャラバンの成功を再度訴えたい。

 「行財政改革」、国民教育、平和の課題について、国公労連、全教、検数労連、長野県労連などから発言があった。

 緊急課題として日の丸・君が代問題がある。山住正巳氏などの呼びかけによる8・5日の丸・君が代法制化反対集会が計画され、全労連にも参加が呼びかけられている。この集会の成功のために大きな役割を果たしたい。

 盗聴法では6・24集会の大きな成功をかちとった。民主党がなかなか有効なたたかいをとれなかったなかで、全労連や日本共産党、国民救援会を除いた勢力で8月3日に集会がおこなわれようとしている。こうした反動を見ておく必要があるが、「ストップ戦争法」5・21集会、盗聴法反対6・24集会、日の丸・君が代7・3集会の成功を大きく広げていくために全労連として奮闘する。

 「総対話と共同」が新しい段階に入っていることが、代議員の発言から明らかになった。福岡での共同、茨城での連合組合の加盟、宮城での中間管理職の労働相談・教組の加盟、新潟における学校給食での共同、広島での訪問活動など、すばらしい報告があった。全国の教訓として広め、さらなる共同を広める。

 国民的課題でも愛知での共同、滋賀の琵琶湖空港問題での共同、兵庫の神戸空港反対の共同、さらには農業問題での共同がすすんでいる。全農協労連の大会では、全労連方針の食と農にかかわる部分が大会代議員に配布された。11月から12月にかけての一斉行動の成功を呼びかける。

 組織問題で発言をいただいたが、その特徴は、地域からの組織拡大が飛躍的に前進していることだ。群馬、宮城、兵庫の活動が生き生きと語られた。常設の労働相談センターの設置など、血のにじむ努力が重ねられてきている。京都や岡山、愛知などでも前進している。昨年1年間に378組合を結成し、中立30組合を仲間に迎え、連合から50組合を仲間に迎え入れる成果をかちとった。

 相談員の全国的な交流集会の開催の要望もだされたが、前向きに検討したい。地域労組の体制確立についても貴重な意見をいただいた。

 幹部育成について自交総連の今村代議員から貴重な意見をいただいた。21世紀の運動にかかわって運輸一般の坂田代議員、全教の山口代議員から意見をもらった。生活悪化をどう打開するのか、この国の政治や労働組合をどう変えていくのか、真剣に考えている。

 すべての労働者・労働組合を視野に入れて奮闘する決意を表明して、幹事会を代表しての総括答弁とする