全労連第19回定期大会・討論:第1日目

討論(発言要旨):第1日目

新潟県労連 目崎静江

 今、21世紀を目前に、職場で画期的な運動が生まれている。かつて経験したことのない攻撃のもとで、驚くべきことに職場では生き生きと運動を発展させている。20単産の役員から最近の運動の特徴を聞取りした。第1は、賃金引下げをはじめとする労働条件低下、リストラ「合理化」に対し、闘わない連合労組に怒る連合組合員との、協力共同ができるようになっている。第2は、少数派組合に明るい見通しがでてきていること。少数派組合は、差別に耐えながら、長年厳しい闘いをしてきたところが多いが、組合員の高齢化が進み、後がない状況になっていた。しかし、最近の経営当局のリストラ「合理化」に対し、批判意識が芽生え、連合組合員からの情報提供や学習会参加、さらには組合加入者がでるようになってきた。第3は、第3セクターや小学校、協同組合(広域行政化にともなう)、国立病院統廃合など地域住民に致命的打撃を与えるリストラ行革が進められ、住民・自治体との共同闘争が広がっているということ。第4は、労働者の心の底にある要求をつかみ、元気になっていること。経営当局の横暴にはどめかけ、職場の民主化にめどつけたところもでてきている。
 近鉄物流新潟支部で、連合との共同が進んでいる。過酷な労働だが、経営は無理難題をおしつけ、連合組合員も、「もうがまんできない」というおもいでいる。たたかい続ける近鉄物流支部に関心がたかまっている。99年末闘争で共同闘争を申し入れ、双方の代表者が連名で要求書出したところ、支店長交渉で、要求がほとんど実現した。今年は連合組合から共闘の申し入れがあり、11項目の要求がほとんど実現した。
 学校の職場では、結成10年で、連合組合からの加入者がでてきた。連合組合では今の教育問題に対応できないと。
 NTTでは、「中期経営計画・ベアゼロをのんだ連合役員には憤り」を感じている人が多く、「通信労組がんばれ」との声援がおきている。中期計画とどうたたかうのか、学習会をしたところ、連合組合からも2名が参加した。
 21世紀の新しいとびら、重大な困難もかかえているが、この10年間でどのような組合を地域職場につくるか、労働者の熱い期待に応えるべく全力をつくして奮闘する決意である。

福岡県労連 石橋純雄

 全労連の大会方針は、戦後最悪の雇用情勢のなかでの運動の前進、労働者・国民との共同の展望を示しているが、福岡での経験と教訓を報告する。
 共同の前進について。私たちは、連合福岡と話し合って、年金問題で統一宣伝行動をおこなった。県労連が呼びかけた緊急集会には8000人が参加し、社民党代表も参加した。
 職場から働くルールの確立を求める運動について。建交労加盟組合が整理解雇4要件を盛り込んだ労使協定を獲得してきた。建交労は、労組認知や対等平等の労使関係などとあわせて整理解雇4要件の労使協定を求めて交渉し、その締結運動を進めている。その結果、産別最賃とあわせて整理解雇4要件、戦争法に協力しない協定を獲得している。事故防止などを求める要求署名には、多くの連合組合が協力している。
 北九州では38年ぶりに統一平和行進が実現し、220人が参加した。平和行進を進めた実行委員会を存続させ、日常的な平和運動をとの声が寄せられている。地元新聞にも、共同への期待の声が載せられている。
 だれもが安心して働けるようにするためには、解雇規制法や労働者保護法の制定を求める運動が重要だ。全労連はこの1年間の活動総括のなかで、労働者保護法制定を求める署名について、連合は1000万集めたが、全労連は70万余と書いている。70万しか集約できなかったことについて、どこに問題があったのか明らかにして欲しい。こうした総括の上に、500万署名の意義と運動を改めて提起すべきだ。
 共同の前進、働くルールの確立運動の前進面をさらに広げ、雇用・時短、サービス残業の根絶、リストラ規制条例の制定など地域からの共同闘争と、労働者保護法を実現する運動を一体としてすすめる決意を表明する。

宮城県労連 高橋正利

 労働者の状態悪化が進むもとで共同行動をすすめてきた。
 第一は県職員3万人への給与3%切り下げ、一時金の0.2カ月削減とリストラ・福祉・医療・教育の切り捨て攻撃とのたたかいである。この問題で、県職労・県教組など連合加盟労組や中立労組などの「三者共闘会議」から「この賃下げ攻撃とたたかうためには、これまでの枠内だけのたたかいだめだ」との要請をうけ、89年の労戦統一以来、連合宮城会長もまじえた共同行動を進めてきた。県労連として春闘並みのたたかいを各組識に要請してたたかってきた。この共同のたたかいは2.5%に押し止め、賃金きり下げを許さずにすんだ。
 第二は地労委民主化にむけた共同である。今年4月1日任命の地労委会長人事が元裁判官という異例人事がおこなわれた。これに対して辞職勧告の意見表明が広く学者、弁護士、労働組合など165名連名で出された。労働組合では県労連加盟が72名、県労協が12名、連合組合が15名、中立組合から2名の組合代表が連名した。
 またゼンセン同盟や地元商店街との共同による大手スーパーによる元旦初売り阻止のたたかいや大型店舗進出を中止させることができた。
 これらの共同のたたかいを通じて、県労連は結成10年にして県内組織労働者の12%を組織するまでに前進した。「目標と展望」の実現にむけて引き続き「対話と共同」を強めていく。

自治労連 若井雅明

 今日の地方自治をめぐる情勢と、たたかいの特徴をのべたい。
 政府・財界は、規制緩和・市場主義経済もと地方自治、自治体労働者に反動的再編攻撃を仕掛けている。自治体の役割についても反動再編攻撃をしかけている。これでは自治体が本来の自治体でなくなり、介護、保育、学校給食、清掃など住民のくらしにとってなくてはならい施設、機能などが民営化、営利化、商品化にゆだねることになる。
 大阪堺市では、保育所の民間丸投げ攻撃に対し、少子社会における保育所のあり方の報告書をまとめている。そして幅広い共同のたたかいで1年先送りさせた。
父母の暮らしの実態を調査し、児童虐待、小子化問題、家計問題など、地域の実態から明らかにしたい。
 こうしたたたかいは、介護、学校給食、清掃の分野でも各地で実践され、公務労働の役割があらためて明らかにされされ、新しい共同が広がっている。
 住民運動でも、吉野川の可動堰問題、愛知万博への取り組みなどでも成果をあげ、浜松市では、市職労が事務局となり、地域振興制定条例運動を成功させた。
 介護保険制度導入に当たっても、制度の持つ欠陥を明らかにし、シンポやキャラバンなどで住民要求の実現めざして幅広い共同の運動を進めている。
 21世紀は、地方自治体でも政府・財界といっそう激しい綱引きが展開される。住民本位の地方自治体を確立するためにも、対話と共同で、自治体労働者の労働条件の擁護と住民要求の実現、住民本位の自治体建設をひとつのものとして奮闘する決意である。

北海道労連 出口憲次

 総選挙で、労組としてどうたたかうかについて全労連と道労連から方針がだされ、これにもとづいて学習会をおこなってきた。諸要求実現を阻んでいる根源は何かなどについて学習をおこない、政治を変えることが要求実現につながるとの確信をもつことができた。
 小樽では、春闘要求アンケートに協力してくれている労組にも学習会への参加を呼びかけ、小室道労連事務局長が講師に来てくれた。札幌では全労連の小林議長に来ていただいて、懇談会がおこなわれた。両氏は、今回の総選挙が労働組合としての要求に根ざした選挙であることを、職場の問題をあげて具体的に明らかにしてくれた。こうした学習をとおして、自分たちの要求を支持する政党を前進させることが要求実現の道だということをみんなが肌で感じた。
 ある分会では「24年間投票に行ったことがなかった。税金はいくら高くても払う。政治に文句は言わない」と言っていたある組合員が「今回は重大な選挙だと思った」と話してくれた。「解雇撤回と政治を変えることが一体だ。投票にはじめて行った」という組合員もいた。選挙は要求実現につながっているとの確信が広がり、やるぞという気迫が感じられた。学習が階級的自覚と変化につながっている。来年の参議院選挙に向けて、もう少し早い段階から運動をはじめたい。
 JR4党合意について。これを聞いておどろいた。JRに法的責任なしとし、職場復帰の具体的内容もないものだが、これが中小企業にあたえる影響は計り知れない。中小企業では、JR方式という事例がでてきている。
 小林運輸倉庫は、組合員160人の中堅会社だが、これまで団交拒否、脱退工作、不当労働行為を重ね、別会社につくってそこに労組員を転籍させ、全員解雇した。全労連の小林議長も激励し、ねばりづよくたたかった。その結果、解雇を撤回させることができた。組合員は職場に戻ったが、就労については話し合いがまだできていない。20名を一室に閉じこめるなどまだ課題が残っているが、たたかったことが勝利になったと確信している。
 JR4党合意は、全労働採用差別事件に直接言及しているものではないにしても、労働者の権利を大きく左右しかねないものだ。国鉄闘争の意義をもう一度徹底して、内外に呼びかけて欲しい。

特殊法人労連 柳沢淳

 勝利をめざし14年間、家族ぐるみでたたかっている国鉄労働者がいる。連帯のメッセージが伝わるような全労連の国鉄闘争方針が重要になっている。国鉄闘争にたいする全面的な補強方針を提案する。
 第一に、四党合意への批判を明確にすべきことである。合意内容は1047名の救済を明らかにされておらず、四党合意についての6月19日の事務局坂内談話を全面的に支持する。
 今後の国鉄闘争でもこの基本的立場を引き続き堅持すべきだ。5月30日の尾張部談話は四党合意を認めるかのようなものとなっており、内容的にも、機関決定的にも問題だ。撤回すべきだ。
 第二に、今後解決にあたってふまえる原則を明らかにすべきだ。それは(1)納得できる解決、(2)国鉄闘争支援者への「信義を損なわない解決」、(3)組合民主主義、(4)ILOなど国際的努力を無にしない解決、の4点が大切だと考える。
 第三に、勝利への展望を明らかにすべきだ。その場限りの提起では組合員は疲れてしまう。勝利への展望を指し示すべきだ。
 今後、国鉄闘争で強化すべき視点の柱は、第一に不当判決を高裁でくつがえしていく、第二に不当労働行為追及問題は全労働者の課題であることを明らかにし、リストラ攻撃にさらされている労働者全体のたたかいと結合させること、第三に安全輸送の確立と国鉄闘争をむすびつけ、幅広い国民的支持を獲得していこことが重要である。
 「国鉄改革成功神話」もすでに崩れている今、その見直しは、ここ2、3年で必至の情勢になっている。
 国鉄闘争をたたかう側には、「正義と真実」がある。この旗を下ろしてはならない。そして労働者・国民全体のたたかいを、思いきって広げ、破綻している国鉄改革組みを切って広げ、破綻している国鉄改革組みを包囲していけば、勝利することは確実だ。

建交労鉄道本部 高橋将治

 国鉄闘争の基本方向について述べる。14年に及ぶたたかいの到達点と、このたたかいの持つ社会的意義を、正確にふまえることが、重要である。この間、労働委員会では、国鉄闘争の不当労働行為の責任がJRにあることを明確にさせた。東京地裁の不当判決においてもこの不当労働行為の事実について認めさせるところまで、裁判所を追い込んだ。昨年11月にはILO勧告もひきだした。1047名の解雇問題は、政府・JRに不当労働行為責任がある。政府・JRが、この問題を解決せよ、という世論をつくることが大切である。国鉄闘争の到達点をどういかすか。今日、産業再生法、会社分割法など、国がリストラ「合理化」推進のあと押しをしている。国鉄改革方式が中小企業にも持ち込まれており、政府・財界が法律で経営責任を不問にし、労働者の権利をなし崩しにしている。労働委員会の救済命令、この到達点を大事にしていきたい。5月30日の国労に示され4党合意は、責任認めていない点で重大な問題を含んでいる。
 JRの不当労働行為責任について、全労連はこのことをについて若干態度が揺らいでいるのではないか、危惧を感じている。闘争の解決を重視するとしたり、小林議長開会あいさつにあるように、人道的解決など。国鉄闘争本部での確認事項とちがう。労働委員会命令とILO勧告に沿った解決をせまるよう、態度を明確にすべきである。引き続き皆さんの決意をおねがいする。

北海道労連 山口康夫

 国鉄闘争について、議案書と事務局長の補強を支持する立場から、発言する。
 道労連は、1047人の半分、全動労争議団の全員を抱えており、国鉄闘争を中心課題としてたたかってきた。この10年間で、1億2000万円を超えるカンパを集め、「全動労を勝たせる会」も5000人を突破した。ILO勧告をださせることなどで一定の役割を果たしてきた。しかし同時に、政府・JRとわれわれがせめぎあっているというのが現状だ。こうしたなかで一定の逆流がある。それが国労の不当判決であり、全動労の不当判決であり、4党合意案だ。
 全労連は10月から11月にかけて国鉄闘争の総行動月間を提起している。この月間を成功させて、逆流をおし戻し、新しい国鉄闘争の前進面を切り開くことが大切になっている。
 国労が臨時大会を開き、4党合意案にもとづく解決案に沿って方針を決めようとする状況になっている。こうしたなかで、この解決案を乗り越えていくような運動が必要だ。
 議長あいさつで気になった言葉がある。1047人とその家族は、13年以上にわたって歯を食いしばってがんばってきた。一日も早い解決は切実だ。しかし、苦しいから助けて欲しいと思っている人はだれもいない。議長は「人道的立場に立って解決にあたる」という言葉を使われたが、人道的ということばを使うのであれば、「人道的立場からも」である。JRに責任をとらせることがまず第一だ。こうしたせめぎあいのなかで解決をはかっていかなければならない。苦しいから助けてくれというようなことは言うべきではない。議長のあいさつの趣旨はそうではないと思うが、しかし、そういうふうに聞こえる。私は、議長を信じているが。あえて言わせてもらう。

建交労 棚池正則

 4党合意という新たな局面に直面し、あらためて闘う決意を固めている。この合意が発表されてから、北海道では8つの地方、それぞれの班で家族を含め、膝をまじえながら、この「合意」について討議した。長いたたかいのなかで、すでに争議団の平均年齢は54歳になっている。闘争資金から、生活資金16万円をだしてきたが、ここにきてプールした資金も足りなくなっている。病気療養中の人も増えているので、働ける人は、アルバイト自活の道にはいってほしい、といって働いてもらっている。介護の仕事、ゴミの回収、公園の除草。これからの季節は墓地の除草。そんな仕事を、一所懸命やっているが、北海道では条件が厳しくて、16万円の水準を下回ってしまうこともある。しかし、「争議団を作ったのは、不当労働行為を是正させ解雇撤回を勝ち取るためだ」と頑張っている。政府・JRを免罪しているあの合意では、納得できない。家族はこう言っている「不当解雇が起きたのは、子ども達が小学校の時。うちのお父さんは、間違っていない。労働委員会の命令で、あれは不当労働行為と断定したのだから」と。しかし、この子ども達が、社会人になった今、この4党合意を認めたとしたら、この子たちに何と話したらいいのだろうか。「13年間、お父さんのいない家庭を、パートでささえてきた。安い賃金のなかから、パート仲間が支援してくれている。そのパート先の職場の仲間に、なんといって説明したらいいんだろう」「地域の仲間にも、説明できない」「合意をのむぐらいなら、敗北宣言をだしてもう一度たたかいを組み直してもいいじゃないか」こういう意見が出てきた。合意を認めず、たたかおう、と決意した。
 13年前の国鉄分割民営化から、リストラ「合理化」攻撃は激しくなっている。この大きな闘いの中で、国鉄闘争が汚点・マイナスを残してはいけない。突破口にならなければ、と決意している。解雇されて13年間。1047名の仲間はたたかい続けている。闘争の財産として、全国の仲間たちの熱い連帯を誇りにしている。我々はこの誇りを胸に、たたかい続けたい。

高知県労連 高橋豊房

 国鉄闘争について発言する。高知県労連は、全労連四国地区協の仲間ととともに年に一度、安全問題でJR四国と交渉をおこなってきた。跨線橋の新設や点字ブロックの設置、ホームの拡張など着実に前進させてきた。普通列車からトイレを撤去させられたが、順次再設置させてきた。特急列車の停車駅を増やしてきた。こうした成果を勝ち取るうえで、JRウォッチングをおこない、現場を見てきたことが大きかった。団体交渉にはJR職員を入れないという制約のなかで要求を実現してきた。
 今年の9月に交渉を予定している。県労連は利用者アンケートを実施してきた。通勤通学ラッシュ解消を求める声が多い。いま建交労がダイヤをにらみながらラッシュ解消の政策をつくっているところだ。
 建交労は、JR職員にアンケートをとり、100人から回収した。そのほとんどが連合組合員だ。いまの人減らしでは安全確保ができないという声も寄せられている。連合組合員であっても、公共交通の担い手としての誇りをもっていること、JRの儲け第一主義に危機感をもっていることが明らかになり、励まされた。このアンケートをおおいに活用して公共交通のために全力をつくす。
 解雇撤回について。全労連は秋にキャラバンを提起している。この程度の活動で「国鉄闘争勝利にふさわしい年」にできるのか不安に思っている。全労連は以前、臨時大会を開いて、全国にオルグを派遣した経過がある。しかしその後、職場ではかなりの組合員が入れ替わり、若い組合員がたくさんいる。いま年2回、全動労のオルグ団が来て、いくつかの書記局を回っているが、職場でもう一度国鉄闘争の今日的意義について分かるようなオルグ体制をとることができないか。勝利の年にふさわしい取り組みをお願いしたい。

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