2000年〜2001年度運動方針(案)
【第2章】全労連のたたかいの基本方向
1.職場を基礎に地域と産別に結集し、全国闘争の前進で要求実現をめざす
(1)第1に、全労連は職場を基礎に地域と産別に結集し、全国的闘争の発展による要求の実現をめざしてたたかう。労働組合は、もともと労働者の日常的な経済要求、雇用や賃金、権利を獲得することを目的に結成されたものである。資本から独立して、賃上げ闘争と「合理化」反対闘争を経済闘争の両輪としてたたかうことは労働組合の原点である。全労連は、この原点をあらゆる運動のなかでつらぬく。そのためにも、それぞれの企業・職場において資本から独立してたたかうと同時に、企業間の利潤競争を規制する共同闘争として、企業の枠をこえた最低賃金闘争や最低労働条件の確立を追求していく。
(2)要求闘争といえども自然発生的には前進しない。今日、雇用と生活がこんなにも破壊されているのに、労働組合運動が新たな「飛躍」をつくりだせていないのはなぜか。労働者の状態悪化は、「反逆」のエネルギーを蓄積せずにはおかないが、短絡的に労働者の決起につながるわけではない。国家的な経済・政治危機と結合した雇用・生活不安の増大は、政府・資本側の攻撃の激化とあいまって、しばしば労働者の攻勢的な姿勢をたじろがせ、蓄積された「反逆」のエネルギーが個人的対応に拡散されることも否定できない。
(3)同時に、時期と条件を得れば労働者のたたかうエネルギーは公然と噴出し、巨大な要求闘争となって流れだす。今日の労働者の実態と意識はまさにそういう状況をむかえており、労働組合の役割がいまほど求められている時はない。そのためにも、職場・地域からより多くの労働者を結集する要求を練りあげることが重要である。要求が未組織の仲間をふくむ広範な労働者の共感をよび、その実現を多くの労働者が心底から望んでいるために動員力をもち、たたかいに参加すべきすべての人々を結集・統一する時、要求闘争は必ずや大きく前進する。全労連のすべての単産・地方組織と組合が、こうした視点を大切にしながら全組合員参加の組合運動を追求していく。
2.すべての国民の支持と連帯を結集し、社会的・国民的な運動を前進させる
(1)第2は、国民的共通課題や制度闘争との結合をいっそう重視してたたかうことである。いま、家族と地域社会の崩壊がさけばれ、労働者にとって個人レベルの所得や貯蓄では対応しきれない教育や保育、医療、年金、介護、環境などの社会的問題がひろがっている。また、賃上げを獲得してもその成果を相殺し上回る税金・社会保険料の引き上げがあいつぎ、この追加的価値収奪そのものを規制しないかぎり、労働者の生活はまもれなくなってきている。さらに、労働者の働きかたや消費生活様式の変化をつうじて、余暇や学習、文化、スポーツ、地域環境など労働者の要求も多様化している。
(2)これまでも、労働組合は社会保障闘争や消費税反対闘争などの国民生活擁護の運動にとりくんできた。しかし一般的には、労働者の生活要求はもっぱら春闘における賃上げ闘争によって実現するものだとする考えかたが支配的で、社会保障闘争なども賃金闘争を補完する制度闘争の位置づけにとどまり、国民全体の生活擁護闘争という視点がきわめて弱いと指摘されてきた。日本の労働組合が企業別に組織されていることから、企業や産別の枠をこえる領域の運動にたいしては、きわめて不十分さをもっていた。
(3)全労連は、こうした日本の労働組合運動がもっている弱点を克服しながら、すべての国民の共通要求にもとづく共同運動を追求する。とりわけ今日の日本社会では大企業の力がますます巨大化し、さらに国家機能と結びつくことによって横暴と支配はいっそう組織的・系統的になり、その犠牲がますます広範な国民の生活と営業におよんでいる。つりあいのとれた日本経済の発展、国民生活と営業の安定、全国民の健康で文化的な最低限度の生活保障の実現をめざす共同闘争を積極的に推進していく。
3.要求闘争と政治闘争をしっかりと結合してたたかいを前進させる
(1)第3に、全労連は経済闘争と政治闘争をしっかりと結合してたたかう。政治闘争は、労働組合の基本的任務のひとつである。しかし、わが国における労働組合運動は長い間、労働組合と政党との関係が不正常で「政党からの独立」の原則が踏みにじられる時代がつづいてきた。旧総評や同盟・連合などの中央団体とそこに参加する組合は特定政党の支持を機関で決定し、その政党の候補者を「組織内候補者」「推薦候補」として、組合員やその家族に義務的に選挙カンパ、選挙活動への動員、投票を強制してきた。
(2)労働組合は、思想、信条、政党支持などの違いをこえて、共通する要求の実現をめざしてたたかう大衆組織であり、特定のイデオロギーと政治綱領にもとづいて政治権力の獲得をめざす政党とは、その性格や目的において根本的な相違をもつものである。しかも政党が複数存在するなかで、特定の政党のみを支持・排除することは、労働組合の基本的性格を踏みにじり、労働組合の大衆的団結を弱めるものである。労働者の基本的人権を侵かす特定政党支持の強制は、労働者の政治離れをひきおこす要因ともなってきた。
(3)同時に、労働組合が政治にたいして中立の立場をとることも正しくない。財界・大企業の利益を代表する自民党政治ときっぱり対決し、労働者の要求実現を政策と闘争目標にかかげている政党とは相互の自主性を尊重し、一致する要求にもとづく協力・共同の関係を確立してたたかうことが必要である。いまの自公保政権ほど、労働者の雇用、生活、権利、社会保障を直接政治の力で改悪した政権はなかった。全労連は、政治の民主的転換なしに要求も実現できないことが、広範な労働者の共通意識になっているもとで、経済闘争と政治闘争のしっかりと結合したとりくみをすすめる。
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