医療改悪法案の参議院厚生労働委員会強行採決に
断固抗議する
7月25日、政府・与党は、参議院厚生労働委員会において「医療改悪法案」を、議会制民主主義を踏みにじり強行採決を行った。この採決は、事前の理事懇談会の合意を無視し、4名の発言者を残したまま質疑を打ち切きった無法なものである。過去の委員会採決には見られない暴挙であり、断固認めることは出来ない。委員会に改めて差し戻すべきであり、本会議採決はもってのほかである。
この「医療改悪法案」は、健康保険史上最悪の「患者窓口負担3割」導入や、保険料の引き上げ、老人医療一割負担の徹底、自己負担限度額の引上げなど、労働者・国民に年間一兆五千億円もの新たな負担を課すものである。負担増による受診抑制によって、国民の生存権と基本的人権が踏みにじられる危険が十分予想される事態である。
政府が医療保険改悪の理由とする赤字の原因は、国庫負担の削減であり、リストラ・倒産などによる保険加入者の減少による保険料収入の低下である。政府が景気対策をなおざりにし、老人医療費などへの国庫支出の引き下げによって大幅な収入減をひきおこし、健康保険財政を困難にしてきたことに対する反省は、政府答弁として一切触れられていない。
医療改悪法案に反対する署名は2700万筆におよび、この法案の撤回・見直しを求める意見書を採択した自治体の数も650におよんでいる。また、参議院参考人質疑では6人の参考人のうち4人が、明確に反対・廃案を求めるなど、労働者・国民の圧倒的な世論は、この法案の廃案を求めている。このことからも「医療改悪法案」は廃案とするのが当然である。
ところが政府・与党はこれらの経緯を無視するばかりか、提案者である厚生労働副大臣の帝京大学入試「口利き」疑惑にフタをしたまま、採決を強行した。「改悪法案」の内容とともに、委員会審議もまだ途についたところでの質疑打ち切りは、議会制民主主義を愚弄し、小泉政権維持だけを目的の国民不在の採決であり、言語同断である。
全労連は、失業と倒産の連鎖を防ぎ保険加入者の減少をくい止めること、政府管掌保険への国庫負担率を法の本則どおりに復活すること、高すぎる薬価を欧米並みに引き下げること、病気の予防・早期発見・早期治療で医療費の膨張を抑えることを実行すれば、医療保険は十分に持続可能であり、今回の「改正」そのものが必要ないと考える。
私たちは、全労連第20回定期大会の名において、強行採決の暴挙に断固抗議し、採決の撤回と「医療改悪法案」の廃案を強く求めるものである。
以上、決議する。
2002年7月26日
全国労働組合総連合第20回定期大会
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