経済のグローバル化のもと国際的な産業再編・企業の統合、大企業のリストラ「合理化」により、雇用と労働条件が極限まで脅かされている。その一方でトヨタなどの大企業は史上空前の利益を上げ、更なる高利潤体制を作り上げるために、たたかう労働者・労働組合を敵視している。
今年6月末現在の全労連関連争議は、17単産250組織318件、41地方372組織、398件にのぼっている。
私たちは厳しい情勢のもとでもこの間、いくつかの勝利を勝ち取ってきた。新日鐵広畑の賃金差別事件の神戸地裁姫路支部での勝利判決、第一交通事件の親会社責任を明確にした大阪地裁判決、住友男女差別争議の大阪高裁勝利判決、JMIUオリエンタルモーターの東京高裁での「逆転勝利判決」、JMIU東北電装支部の長野地裁「地位保全」「賃金仮払い」での勝利決定、全損保・朝日火災海上保険の不当労働行為事件の最高裁勝利判決、筑豊じん肺訴訟では国の加害者責任を断罪する最高裁勝利判決を勝ち取った。
また、帝京八王子三好解雇事件、京都エステートの解雇争議、石播の人権侵害・賃金差別事件、横浜人活事件、JMIU日立精機支部、関西航業争議などが勝利的に和解解決した。
一方で、ヒルトン争議やネスレ解雇事件の東京高裁逆転敗訴、明治乳業の差別事件や仲立証券争議が東京地裁で敗訴し、国民金融公庫の賃金差別事件は18年目に入っても東京地裁で継続中であるなど困難な争議もあとを絶たない。
1047名の解雇撤回をめざす国鉄闘争は昨年12月に最高裁判所が僅差で不当判決を下したが、この判決をもってしても政府とJRの「国家的不当労働行為」の責任を免れるものではない。6月にはILOから6度目の勧告が出されたが、この機を生かしいまこそ、関係当事者が要求の一致による団結と共同の力を発揮し、早期解決をはかるために全力を挙げる。
日本の最大企業であるNTTの11万人「合理化」は、50歳定年制による賃金・労働条件の一方的不利益変更を労働者に強い、それに反対する労働者には遠隔地配転を強行している。このような非人道的なことは到底許されない。
不当労働行為との闘いでは、労働委員会と労働者委員の果たす役割が極めて重要となっており、11月に予定される中労委労働者委員の実現のために全力を上げるとともに、各地方労働委員会の労働者委員獲得にむけて奮闘するものである。
前国会では個別労働紛争の迅速な解決をめざす「労働審判制度」が成立し、2年後の施行をめざしている。この労働審判制度を機能させるためには大量の労働審判員が必要であり、全労連はこれに積極的に対応していく。また、秋の臨時国会では国民の裁判を受ける権利を阻害する「弁護士費用の敗訴者負担制度」を導入する法案が審議されようとしており、これは絶対に阻止しなくてはならない。
争議は、労働者・国民の労働権、生存権、基本的人権を破壊しようとする者との直接対決の場であり、憲法を職場と企業に確立する闘いでもある。われわれは、企業の社会的責任追及と働くルールを確立する運動と合わせ、すべての争議の早期勝利解決を図るため、組織の総力を結集して奮闘する。
右 決議する。
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