3日間で、5名の文書発言をふくめて18単産・29名、36地方組織・46名、2補助組織・2名、合計56組織・77名の発言がありました。まず、具体的に議案の補強・修正を求められた点にお答えします。
岩手・鈴木代議員、群馬・安藤代議員から、議案書7頁の、「持続可能な地域社会」という表現は、小泉改革で使われた「持続可能な日本経済」などという言葉と混同する恐れがある。「安心・安全な地域社会」に修正すべきとの指摘がありました。7頁(3)のタイトル、及び〈3−8〉で記述している「持続可能な地域社会」という文言は、「安全・安心な地域社会」に訂正します。
北海道・出口代議員。議案書9頁・〈4−5〉の「最低生計費探求運動」「家計実態証言運動」という言葉は、青年や職場労働者にとって難解であるとの意見がありました。春闘の具体的なとりくみを提起する際に、他の適当な言い方がないか検討しますが、適切な表現について北海道でも対案を考えてみて下さい。
熊本・楳本代議員。障害者自立支援法の見直しを求める10・31集会に共同で取り組むようにとの要請。すでに障全協・吉本会長などからも要請を受けて、集会成功のために全労連も協力する旨の意思をお伝えしています。
神奈川・水谷代議員。全国一律最賃制の確立に向けたロードマップを示せ。全労連の最賃大綱、一次案・二次案を提起していますが、さらに今後の制度確立にむけた運動の展開、政党との連携などを具体化するよう努力します。
富山・黒田代議員、組織拡大推進基金の1億円カンパを打ち切ることと中期計画との関連について。組織拡大推進基金は3年期限の方針ですから、カンパもこの1年で打ち切ります。中期計画実践のための財政措置については、大会後に設置する組織財政検討委員会で検討し、来年7月の評議員会に予備提案します。
山形・勝見代議員。全労連統一要請書が10単産・30地方・2214の経営者に提出されたとあるが、リアルな状況を掌握せよ。全労連として集約する方針を提案し、何度も点検した結果がこの数字です。今後どのように位置づけて取り組むのか、春闘方針で具体化します。全労連の地方協議会の役割を明確にせよ。単産の地方協も参加する補助組織にするなど、検討していきたいと考えています。もうひとつの日本闘争本部による9月のブロック別学習会。講師派遣の費用については個別に闘争本部と調整して下さい。
映演労連の梯代議員。社会の木鐸としての本来の役割を失いつつあるマスコミに、どうクサビを打ち込むか。重要な問題意識の提案だと受け止めます。経験と見識豊かな多勢の年金者組合員の協力を得て、マスコミ監視団をつくる。新聞社・テレビ局ごとのチームを編成して、紙面や番組を点検し、不当な報道にはただちに抗議する。良い報道は激励する。そんなこともふくめて議論してみたいと思います。
映演労連・高橋代議員。2010年までに200万全労連というが、実現性はあるのか。全労連結成の準備を一緒に進めてきた旧統一労組懇の単産がすべて全労連に結集すれば150万、東京地評が全労連結集を実現すれば170万、非連合の大結集ができれば200万、アメリカの国際サービス従業員労組が、1996年から2005年の9年間で90万人の組合員を拡大した。日本でも、兵庫や福岡の代議員、静岡の青木代議員が今日発言したように、この間、止むにやまれぬ労働相談が全国的に急増しています。その数は1万人をこえこれを相談内容の解決にとどまらず日本でもひとたび山が動き出せば、不可能ではありません。この点で自治労連が、史上空前の攻撃には史上空前の陣がまえで反撃する。47都道府県に複数専従を配置するという決断に心から期待します。
全労連の新執行体制の確立については、単産・地方組織代表による役員検討委員会を設置し、世代交代と運動の継続・発展を統一的に検討してきました。信任投票に際しての立候補者紹介は、選挙管理委員会の専権事項です。
特殊法人労連・中野代議員。単産合同問題。単産合同の前提として、単産の自主的判断を尊重すべきことは言うまでもありません。全労連規約6条2項は、加盟組合は規約を守ることの他、全労連によって組織の自主権を侵されないと定めています。加盟組織の自主権が全労連によって侵されることはありません。
年金者組合の九昌代議員。連合に一致する要求での共同を申し入れたらどうか。連合との間で、両事務局長の協議をかなり頻繁に行っています。マスコミへの公表は慎重にすべきで、相互の信額関係の積み上げが大切です。
千葉・本原代議員。国鉄闘争について。国鉄闘争勝利の闘いは、最大の被解雇者をかかえる国労と建交労の組織的共同、解雇され撤回闘争を闘っている当事者1047人の団結。多くの労働者・労働組合による物心両面の支援体制。これを土台に大衆闘争で政府・JRを包囲していく。全労連の一貫した立場です。
その点で、全労連大会に国労委員長が連帯メッセージを寄せ、昨日国労大会で建交労委員長が連帯挨拶をした。両単産や全労連の粘り強い努力の到達点です。本原さんが強調したように、暴力集団・中核派と一体の動労千葉と、全労連の組織的共同はあり得ません。同時に国労と建交労が、支援中央共闘、国鉄共闘を加えた四者の共同と、1047人の総団結を軸に闘っていくと合意し、すでにこの四者で国交省交渉などを実施していることは、全労連としても受け止める必要があります。
争議解決は、当該単産や地方組織の要請にもとづいて支援するのが一般的原則ですが、国鉄闘争の場合、国家的不当労働行為に対する日本労働運動再生の環と位置づけ、解決に責任をもつとした全労連国鉄闘争本部が確立され、特別会計を設置して今日まで闘ってきた経緯があります。国鉄闘争本部の機能を、今後どう位置づけるかという問題はありますが、政府やJRに対して全労連が背中を見せるようなことは、あってはなりません。そうした視点をふくめて、新しい幹事会のもとで真筆に協議いたします。
岐阜・平野代議員。労働契約法制・労働時間法制の今後の進め方に関する労働政策審議会、労働基準局長に対する緊急の団体署名について。要請事項の第1項は、ご指摘のように法案提出を了解した上で、通常国会での制定を強行しないことを求めるような誤解を与えかねません。慎重・十分な議論を行い、法案の国会上程を行わないこと、という表現が適切だと思います。3項についても、裁判所を使ってという表現は削除することが適切かと思います。いずれ、正式に印刷したものをお送りすることにします。
生協労連・根本代議員。第4章の重点課題と運動の展開では、均等待遇の運動が提起されていない。〈4−1〉で、男女差別賃金と非正規労働者の均等待遇をめざすと記述していますが、同じ8頁の(2)のタイトルを非正規の賃上げ・均等待遇というふうに補強し、〈4−3〉の文章の中でも補強することとします。
山口・高根代議員。「もうひとつの日本」というスローガンについて。提案説明の際にも補強点を説明しましたが、もうひとつの日本とは、どこかにユートピアがある。空想的な社会を探すという意味ではありません。現実社会を出発点に、それを変革していく闘いの中にこそ、もうひとつの日本があります。今後の全労連方針の中でも、その点に留意します。
福祉保育労・泉谷代議員。社会保障闘争について付属議案の06秋聞方針でも補強せよ。建交労・藤好代議員。トンネル塵肺の方針を補強せよ。19頁から20頁にかけての公務員制度改革などの方針のあとに、(6)でタイトルを起こし、社会保障闘争とトンネル塵肺、それから千葉の村上代議員からあったアスベスト被災のとりくみについて方針を補強したいと思います。
愛知・榑松代議員 4号にかかわって
財政の20%を組織拡大にという財政問題だけだは不十分。
全労連のすべての活動を組織拡大に結びつける。このことの徹底が重要―4号議案には直接的な文言がないが、全労連としては運動方針で一貫して重視いてきた。今後も強調していく。
建交労・岩永代議員
制度・政策闘争の重要性を明確にし、具体的な活動を強めること。―自交総連のタクシー免許の制定を求める運動の教訓が示すように、全産別、地域にとって決定的に重要。―恒常的政策委、労働総研
自治労連・阿部代議員
ローカルユニオンと産別のかかわり、非正規部会が何をするのか具体化をはかれ。
全労連の最大の加盟組合である自治労連が史上空前の攻撃には史上空前の陣がまえで反撃する。47都道府県すべてに複数の専従を配置するという決断に心から期待します。
日本医労連・桂木代議員
これは生協労連の根元さんも言われたことですが、労働組合活動に女性が参加しやすい環境づくり、具体的な手立てを検討せよ―政策的に
国際―これまでの活動の総括と情報提供
その他にも、議案を深める立場からたくさんの補強意見がありましたが、今後の全労連方針、あるいは運動の中で、生かしていくよう努力します。時間がありませんので、討論の特徴・まとめを簡素に申し上げたいと思います。
討論全体を通した特徴は、全労連らしく、本大会でも率直で活発な討論が展開されたことです。とりわけ、日本社会を変革し、もうひとつの日本を求める3つのキーワードとして第一に、憲法・教育基本法の改悪を許さず、戦争しない日本を貫くこと。第二に、青年や非正規労働者、未組織労働者の深刻な格差と貧困の広がりの中で、最低賃金制度やナショナルミニマムの確立、医療・年金・社会保障制度などを軸に、格差と貧困の是正に向けた運動を強化すること。第三に、地方自治・地域社会の破壊が進むなかで、安心して住み暮らせる地域の共同体づくりをめざすこと。この点での集中的な討論が行われたことです。
あわせて、2年間の全労連運動の第二の柱に位置づけた組織建設への挑戦として、かつてない集中的な討論が行われたことでした。討論はいずれも、真剣な決意に溢れ、山積する困難な情勢に屈せず、日本労働運動の壮大な共同を展望しながら、歯を食いしばって奮闘している単産・地方、地域の姿が反映されたものであり、やる気8割なら実践すれば10割、全労連全国一般全労連オルグの遠藤さんの発言に象徴されるように、さらには金融三単産の合同にも大きく貢献した全信労で全労連オルグの貝之瀬さん具体的に足を踏み出せば必ず前進できるという確信に満ちたものでありました。
また、青年と女性の元気な発言も特徴でした。とくに若者の発言が相次いだことは、全労連の運動と組織の飛躍を予感させるものでした。北海道の出口さん、埼玉の佐藤さん、映演労連の梯さん、兵庫の山本さん、愛媛の竹下さん、岐阜の平野さん、青年部の笠松さん、国公労連の浅尾さん、大分の児玉さん、この9人の中での最高年齢は40歳です。発言の内容は、古手のツワモノに勝るとも決して劣らない、発言時間が短くても感動を与えるすばらしいものであった。お互いに確認できるのではないでしょうか。
女性の発言もそうでした。日本医労連の大村さん、全教の植西さん、長崎の柿森さん、奈良の高橋さん、自治労連の清沢さん、大阪の薮田さん、女性部の角田さん、いずれも簡素な発言のなかに、教訓が豊かに盛り込まれていました。
全労連は昨年の春闘方針で、大企業で働く非正規労働者の組織化を重視する方針を打ち出しました。わずか1年半で、大企業関連職場の闘いが、イナックス・メンテナンス、ビクター・アフターサービス、松下プラズマ、住友G、三陸ハーネス、自交総連第一交通、群馬などのNTT闘争、全印総連・凸版印刷、GMIU光洋シーリングテクノなど、直接の労使関係をもつ闘いとして全労連大会において数多く報告されたことも、大会討論の特徴のひとつでした。あらゆる大衆組織の中で、対等平等の交渉権が保障され、不誠実な対応をしたら経営者に法律的に罰則が科せられるのは、労働組合しかありません。大企業関連職場の非正規労働者などの組織化は、日本労働運動の活性化、質的変化にとってもとりわけ重要です。
最後に、今大会で新たに提案した国際路線について申し上げます。本大会の海外代表として、KCTU・韓国民主労総、CITU・インド労働組合センター、CGT・フランス労働総同盟をお招きしました。新しい国際組織結成の動きに、全労連が積極的に対応していく方針を提案したこととも関連しています。連合はさっそく、「全労連が加盟することには反対する」。事務局長の見解を出しました。しかし、連合に拒否権がないことは、ILO総会で意見交換した国際自由労連のガイライダー書記長も明言しています。
連合や日本政府、あるいは日本経団連が、全労連の方針にどう対応するかという問題が、重要なのではありません。全労連の自主・独立の立場から、今日の国際情勢をいかに深く分析し、どのように対応していくのか。全労連自身の方針を、加盟組織と組合員の積極的で民主的な討議によって選択していくプロセスこそが重要です。本大会への提案自体が、すでに連合や日本政府や日本経団連、そして世界の労働組合に影響を与えているのです。
CGTのジャン・ミッシェル・ジュビェが言いました。労働組合運動にとって、国という枠組みは依然として重要だが、国内の枠組みのみにこだわっていたら、グローバル化の加速と拡大に労働組合の挑戦が応えられない。新国際組織は、労働組合の共同・連帯を実現するための近代的ツールであり、行動を起こし、国境をこえた労働者の要求をまとめあげ、交渉するための手段である。この発言は極めて示唆に富んでいます。言語の障害があるからと言って、全労連の国際活動が鎖国的な状態にとどまっていいはずがありません。新たな可能性への挑戦に、積極的に踏み出そうではありませんか。
全労連は、9月にべトナム労働総同盟、中華全国総工会に代表団を派遣します。出欠はまだ決めていませんが、10月には世界労連の役員評議会がピョンヤンで開催されます。来年1月には、今回参加したCITUの大会が開催され、マジュムダル書記長から全労連のハイレベルの代表派遣を要請されました。すでに全労連は中華全国総工会に対して、北東アジアの平和と安全に関して、政府間の6カ国協議に対応するような労働組合の協議を申し入れています。今後、CITUやKCTU、中華全国総会とも連携して、大阪の薮田さんも強調された憲法9条を守る国際的な労働組合の共同、アジア地域の平和と安全を守る労働組合レベルの対話を進めていきたいと考えます。
時間の関係で、5名の方が文書発言の扱いとなりました。大阪労連・吉岡代議員「派遣労働と青年雇用問題」、日本の戦後政治、民主主義、労働組合運動の根幹をなしてきた平和憲法がまっ殺され、日本が戦前のように、海外で戦争する国に逆戻りさせられようとしている。それと真正面から闘いぬくことを中心とした大会議案を満場一致で採択していただくようお願いし、総括答弁と討論のまとめとします。
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