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全労連&労働法制中央連絡会の「労働法制の改悪を許さない学習決起集会」


 まぶしい陽光に春の訪れを感じさせた2月28日(金)の午後、全労連と労働法制中央連絡会共催の集会、「許すな!首切り自由化・ただ働き合法化 労働法制改悪阻止学習決起集会」が開催されました。会場の東京・御茶の水の労金会館ホールには個人参加も含め120名余りが駆けつけました。

 労働法制改悪反対運動は、昨年秋から様々な団体が取り組み、審議の山場では諸団体の共同行動も実現しました。今回の学習決起集会も、こうした流れをくんで多彩な顔ぶれが登壇しました。
 開会挨拶は熊谷全労連議長、主催者挨拶暉峻淑子先生。連帯の挨拶は全労協・藤崎議長、つづいて、連合・全国一般の田島書記長による労働政策審議会労働条件分科会の報告、日本労働弁護団の宮里会長による講演。行動提起は、寺間中央連絡会事務局長が行い、まとめと閉会挨拶は、堀口全労連闘争本部副本部長が行いました。


□■開会挨拶□■
熊谷金道・全労連議長

 国会にあげられる労働法制改悪法案の本質・狙いをつかみ、運動を組織していく出発点として、この集会を是非とも成功させていきたい。政府・財界は、多様な雇用形態・働き方が、労働者の選択にこたえるものというが、そうではない。
 1月の失業率は5.5%だが、求職活動をあきらめた人も含めた実質失業率は10%といわれる。労働者に雇用について選択する余地などない。そういうなかでの攻撃だ。
 95年の日経連「新時代の日本的経営」では、高コスト構造打開のため、ひとにぎりの雇用だけを守り、圧倒的多数の労働者は短期・ないし不安定雇用におきかえていく戦略が出されたが、今度の労働法制改悪は、そういう財界の狙いを総仕上げするもの。絶対容認しがたいのは、労働者保護としての労基法の性格を根本的にかえようとする、解雇自由の持ち込み。それに、裁量労働性のしばりを解除し労働時間管理を骨抜きにし、ホワイトカラー全体にこれを拡大して、ただ働きをさらに助長しようとしていること。有期雇用契約についても、3年間の有期雇用を試用期間として、必要な人だけを採用しようとする手口。また、私たちがこの間厳しくいってきた、製造業の偽装派遣・請負問題。この問題を規制せず、派遣労働の導入を解禁しようとしている。
 リストラと野放しの長時間労働・サービス残業を規制することこそが大切なのに、財界の意向にそって、勝手に首の切れる低賃金労働者をつくろうとしている。職場、地域から、みなさんとともにたたかいたい。連合も全労協も立ち上っている。しっかり議論し、意志統一して、今春闘の大きな課題を達成しよう。

□■連帯のご挨拶□■
全労協議長 藤崎議長

 全労連に結集するみなさんが、雇用と人権と平和と民主主義を守るために尽力されていることに心から敬意を表する。春闘真っ最中、日本経団連をはじめとする経営者たちは、雇用維持のためには賃下げもやむをえないといっているが、現実には、小泉内閣の不良債権処理の加速化とも重なり、どの企業も人員整理、企業整理、社員の非正規低賃金労働者への置き換えを行っている。そういうなかで労働者の雇用と生活、人権が侵害されている。本来、労働行政は、そういう企業の横暴に歯止めをかけ、労働者を守るのが基本。しかし、ここ数年、日本の労働行政は、そういう立場に立つよりも、企業経営がスムーズにいくためにはどうしたらよいか、というところに軸足をうつしているのではないか。解雇自由化、有期雇用延長による常用代替。裁量労働における企画業務型の適用基準の緩和、派遣の製造業への導入。いまの労働行政の見直し規制緩和は企業のリストラを応援するものになっている。とんでもないことだ。戦後積み重ねられてきた労働者の諸権利が次々と奪われている。この大改悪にたいし、日本の労働者・労働組合がどういう立場に立って、どういう行動をするのかが問われている。連合も全労連も全労協も、せいぞろいしてこの攻撃に反対する、との姿勢をみせてたたかうことで、この改悪をストップさせることができる。お互いの垣根をとっぱらって、三団体が、もっと多くの労働者が、この問題で国会闘争も組めるようにしたいし、わたしたちもそう努力したいとの決意を申し上げて、連帯の挨拶に代えさせていただく。


□■厚生労働省・労働政策審議会(労働条件分科会)報告□■
連合全国一般書記長 田島恵一委員

 労働基準法問題はすべての労働者にかかわる問題であり、分科会(審議会)委員として審議内容について、報告したいと思います。とりわけ、労働基準法に新たに設定される「解雇ルール」を中心に報告していきたい。

 2月18日に労基法「法案要綱」が審議会から答申された。この答申にあたって、労働者委員から3点にわたって意見を出した。それは、(1)有期雇用をひろげる問題、(2)解雇ルールについて、(3)裁量労働制の緩和についてである。労働側7人の委員は、これは労働法制の改悪につながると、反対意見・意思を表示している。連合草野事務局長談話で明らかである。

 解雇ルールについて、初期の段階で労働側が「一歩前進」だという評価は間違いではないと思う。7月にはじめて論点整理がでたとき、使用者委員は、労働契約終了・解雇ルールについて新たに労基法に入れる必要はない。労働側が主張する四要件はいらない。労使自治に任せるべきという姿勢だった。最高裁で確定している判例及び各種裁判で定着している整理解雇の四要件を踏まえた立法化を、というのが労働側の意見。10月15日に解雇ルールの論点がでた。その内容は、「解雇には正当な理由が必要であることとする」とのことだった。労働側は解雇制限につながるルール化の必要性を主張し、使用者側は労使自治原則で行政介入になるからと反対だった。その段階で、使用者側が金銭解決は必要といってきた。金銭解決は、裁判の短期化と、公平論にもとづく要求だった。解雇無効となり、不当解雇した者が請求できるのが、なぜ公平なのかその論理はまったくわからない。

 しかし11月の論議で「解雇できるが・・」と濫用法理といいつつきわめて解雇自由論に近いものが入ってきた。これについては、労働側は当然反対した。労働者保護法になぜ、「使用者がこういうことできる」となるのか。解雇できることが前提となって、しかし正当事由が必要という形となった。これについて事務当局は、解雇権があらたに発生するのではく、民法の規定の確認要件としてあるというのが説明である。

 建議には有期雇用と裁量労働については、労使の意見がでている。ところが、解雇ルールについては、労働側の意見も使用者側の意見も付されていない。その論議のなかで、厚生労働省の説明は、「最高裁の判例法理を足し引きせず、そのまま記載する」と言明。立証責任については「労働者が不当といえば、経営側に挙証責任があるのは明確」といっていた。しかも「判例」のみ記されていたのが、「裁判例も内容を十分周知」としたのは、最高裁だけでなく、下級審の整理解雇四要件も活かすためだった。

 建議段階での「解雇ができるが、・・・」が、「できる。ただし・・・」となり、経営者の解雇自由権を一層強めてきたのが、法案要綱である。最終日の審議では、罰則について議論となった。労基法に経営者だけなぜ罰則があるのか。労働者にも罰則もうけるべきだ、との意見が使用者の1人から発言があった。これに、厚生労働省は、労基法は労働者保護法制であり、市民法原理を修正することによって、使用者に「してはならない」という特別法であると正論で反論をした。そこで、労働側が、そういう労基法に、「解雇できる」がはいるのはおかしいと重ねて主張する局面もあった。厚生労働省、公益委員は民法で規定されているものの「確認要件」という見解となっている。総合規制改革会議の流れのなかで、行政としてやっていこうという姿勢が強いのだろうと理解している。

 裁判所そのものが判断した時点で金銭解決も一括でと建議段階でなっていた金銭解決問題は、法制局、法務省との調整もあり法案要綱段階では、建議とまったく違う枠組みとなり、判決が出た後に労働者側は使用者に請求できる。使用者は裁判所に請求できるとなった。争議で社前行動やれば、それも阻害要件になる。解雇撤回闘争をやった者は、職場復帰できなくなるなど問題がより明らかになってきた。1月に入ってからの法案要綱段階での審議は、通常縦書きで出るところを、横書きの「検討の内容」として出してきた。厚生労働省も建議と違うものを出すことに自信がなかったからだろうと思う。

 1月10日の審議後の12、13日に、労働側7名の委員は連合本部にあつまって、金銭解決が出たら強い態度で望もうと意志統一していたし、法案要綱から削除させることができた。しかし、今後の検討課題とされているので、金銭解決についても今後批判的運動が重要だと認識している。

 使用者に解雇権があるとわざわざ書くのはおかしい。労基法を変質させるものであり、「してはならない」ということを書くのが労基法であるとの労側の主張に対し、災害出動で時間外を命じることができる(第33条)という規定もあるから、「できる」は新しいものでないというが、災害出動と解雇はまったく別のものであり、一緒だという論理は成り立たないと思う。

 解雇撤回闘争で、立証責任がどうなるかはきわめて重要な課題であり、法案要綱の中身では、これまでの到達点をさげさせることになる。したがって厚生労働省は、法案だけでなく「立法者意思」によって、使用者が実質的に立証しなければならない、と言うが、その担保は三権分立で行政・立法者の意思で司法を縛りきれるのか、法案そのものから「解雇できる」を削除させていかなければならないし、明確に反対しなければならない。

 総合規制改革会議などによる規制緩和が、社会的規制である労働基準法のおいても、企業に都合のよいモノにしていく流れが強まっており、解雇ルールだけでなく、有期雇用の拡大は、若年定年制につながる。使用者は、選択肢を増やし、1年を3年にすると雇用安定になるというが、これは、3年間もの試用期間の低賃金労働者をつくるもの。なぜ有期雇用なのかという規制もなく、しかも雇用形態で賃金や労働条件に格差があるなかでその均等待遇さえ保障されていない現在、期間の定めのない労働者から有期雇用への置き換えや不安定雇用化が一層ひろがることを意味する。

 企画業務型裁量労働制について。サービス残業がいま横行して、連合も重点課題としている。しかし、本当に仕事と労働時間にたいする裁量権があるのかというと、そんな人は限られている。そこで、導入する場合しっかりと見極めなければいけないということで労使委員会での決議や手続きが導入時に定められてきた。その緩和策が、サービス労働の温床にならないようしっかりとした規制を維持しなければならない。

 最後に、労働条件分科会も他の審議会同様に是非公開すべきである、と労働側として意見を述べている。

 連合も今回の労働法制は重要課題と位置づけ、労働法制の改悪に反対する取り組みをすすめていく方針である。以上、要点のみ審議内容と課題について報告とする。




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