小泉内閣は通常国会に「有事法制」法案を提出し、成立させようとしている。その内容は、日本政府が判断とする「有事」にあたり、政府に憲法を超越した権限をあたえ、自治体や労働者・国民には戦争協力の強制参加を義務づけ、自衛隊やアメリカ軍の軍事行動を保障するなど、憲法の平和原則を踏みにじり、言論・表現・報道の自由など国民の生活権や人権を無視する危険なものである。それは21世紀を「平和・共存」の世界として営もうとする青年にとって、相いれないものである。
この「有事法制」は、1997年の「日米軍事協力指針(ガイドライン)」、1999年の戦争法(ガイドライン法)、昨年強行した自衛隊参戦法(テロ対策特措法)など、世界平和に逆らうもので、さらに具現化し、日米共同の武力による体制に歩み出す危険なものである。
政府は「同時多発テロ」や「不審船事件」をあおり口実に利用して「有事法制」制定をねらっている。しかし「テロ」や「不審船」の問題は、国際法や現在の国内法規により警察や海上保安庁で取り締まることは可能であり、「有事」とはいえるものではない。
かつて防衛庁関係者が「どこが攻めてくるか、ということはできない」(中谷防衛庁長官)「周辺隣国に一方的な対日侵攻の意図など全く見えない」(竹岡元防衛庁官房長)といっているように、「日本が武力攻撃を受けた事態」や、その「おそれがある場合」を想定してきた「有事」の概念を、「武力攻撃に至らない段階」をも含むものに検討していることは、アメリカの引き起こす戦争に、政府が必要と判断すればいつでも強制的に国民を動員できることをねらうものであり到底認めることはできない。
私たち青年は、二度と戦争をしないと誓った戦後日本の立脚点に立ち「有事法制」阻止、憲法改悪を許さず、平和と民主主義をまもる取り組みを様々な青年団体・個人によびかける。
2002年3月10日
全国労働組合総連合青年部
PeaceWind実行委員会
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