5月22日、若年定年制を招く「労働者派遣法改正案」が野党の反対を押し切って衆議院で可決採択された。参議院では5日に採択を強行しようとしている。法案では派遣期間を1年から3年に延長し、製造業、医療・福祉分野への派遣を解禁しようとしている。「改正案」は、派遣労働者の労働条件や権利を確立する方向でなく、劣悪な労働条件を強いられる派遣労働の一層の拡大につながるものであり、断じて容認できない。また、現在でも多くの新卒就職先が派遣会社であり、正規雇用の枠は一層狭まることが予想される。さらに1年から3年に派遣期間に延長しても、継続雇用の保障は何もないことは、最大3年後に「解雇=若年定年」につながるものである。
今、労働基準法の「改正案」の審議が行われ、問題点が浮き彫りになっているなか、与党と民主党の修正の上、本日、衆議院厚生労働委員会で採択をされた。主な内容は政府案にある「解雇の自由」を削除し、「解雇の規制」「裁量労働拡大」「有期雇用期間1年から3年に延長」である。「解雇権」に関しては、労働組合側の運動の成果の反映であり、大いに評価できる内容である。当初の政府案にあった使用者の意図するまま解雇を自由にすることは、現に若年層にも及んでいるリストラの現状からいっても到底認められるものではない。これは、使用者に対する規制と労働者保護を基本とする労働基準法の本筋から大きく逸脱する内容であったからだ。一方で裁量労働の拡大では、無原則的な労働の結果、青年のメンタルヘルスが侵され、過労死・過労自殺が多発し、未来と健康・命をも奪っているのが実状である。また、フリーターと呼ばれる青年たちの多くがアルバイト・パートといった有期雇用である。その総数は年々膨れあがり400万人ともいわれている。正社員や新卒の労働者を3年契約にして雇い止めをしやすくする傾向が懸念される。修正が見込まれるが、不十分な内容といえる。
このように今国会で審議されている労働法制改悪の内容は、若年定年制と青年の不安定雇用を推進するものであり、青年の生活と将来にとって、何一つメリットがない。今政府が取り組まなければならないことは、社会問題となっている青年層の188万人の失業(03年4月時点、34歳まで)克服策と、雇用を守り、将来不安を取り除く労働条件、社会保障制度の確立である。
私たちは、働く者の生活と権利を守る労働組合の青年部として、すべての青年労働者の雇用と生活に重大な悪影響をもたらす労働法制改悪に断固反対し、青年の雇用と安心して働き続けることができる社会の実現を求めて、多くの青年と連帯していくことを呼びかける。
2003年6月4日
日本新聞労働組合連合青年女性部、日本民間放送労働組合連合会青年協議会
全国印刷出版産業労働組合総連合会青年部、全日本損害保険労働組合青年婦人センター
東京土建一般労働組合青年部、全国労働組合総連合青年部、全日本建設交運一般労働組合青年部
全国生協労働組合連合会青年部会、日本医療労働組合連合会青年協議会
日本国家公務員労働組合連合会青年協議会、日本自治体労働組合総連合青年部
全日本教職員組合青年部
(順不同)
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