「地域金融の役割と発展を考える学習交流集会」(主催・国民の眼から金融問題を考える懇談会)が4月14日、東京都内で開かれ、22組織から50人が参加した。
交流集会は昨年10月の懇談会発足以来2回目。
斉藤正・駒沢大学教授は、「国民の視点に立った地域金融の在り方」と題して特別講演。冒頭で世界経済と日本経済の現状を報告し、世界経済秩序としてのグローバリゼーションは、国境を越えた資本の本質が、各国の独自性、国民の利益など「労働の論理」と真っ向から対立していると指摘。グローバルの時代だからこそ「万国の労働者は団結せよ」のスローガンとILOが提唱している「働きがいのある仕事」(ディーセント・ワーク)が重要と強調した。
その上で、政府が進める金融ビックバンは、アメリカ追随の金融再建策であり、「実体経済対策なしの、もっぱら株価・債券処理策にかたより、金融機関の公共性など社会的責任を著しく軽視した危険な方向」と指摘。労働運動が中小業者などの運動と共同を強めながら、公共性を土台とした金融シテスムの構築を目指す方向こそ、日本経済の『持続的成長』への確かな道が開かれる」と述べた。
特別報告で全商連の植田忠義・運動政策局長は、地域経済・地域の産業振興と結びついた金融、地域の活性化に貢献する金融機関をつくる要求、高利貸し金融業は認めない要求など、検討中の政策提言の一端を紹介した。
参加者からは、「信用金庫業界は3万人減らされて16万人。金融機関の合併は人減らしそのものだ。『検査マニュアル』で厳しく指導され、自己資本比率を高めるために、一時金や基本給がカットされ、いつ解雇されるか、不安はつきない」(全信労・船橋)。「年中銀行とケンカ腰だ。120人のトラック会社が6000万円の追加担保ができなくなり、3月に倒産した。どこも労働条件切り下げを強いられている」(建交労)。「地域経済が衰退するばかり。緊急課題は、どう共同したたかうかだ」(地銀連・秋田)などの発言があった。
国民春闘共闘の国分事務局次長は閉会あいさつで、「金融ビックバンが金融のあり方を歪め、国民と金融労働者に多大の犠牲を与えている。金融庁に強く要請しているが、今後、懇談会をどう発展させていか、学習・討論を深め、行動する『懇談会』にしたい」と述べた。