労働法制改悪阻止で厚生労働省包囲行動

 いま、政府・厚生労働省は、労働政策審議会・労働条件分科会の場で、1.解雇ルールの明確化、2.有期労働契約期間の上限の5年への延長、3.労働時間に係わる制度の見直し(裁量労働制の対象範囲拡大・導入手続きの緩和、ホワイトカラーへの労働時間規定の適用除外)などの課題を検討しています。各審議会での議論の流れは、残念ながら労働者の主張よりも政府・財界の意向が色濃く反映され、不安定雇用を増大させ、長時間労働を増大させる方向へと進んでいるようです。
 全労連は15日、このような政府・財界が押し進めようとしている労働法制の改悪を阻止し、労働政策審議会の討議内容を、労働者の権利を守る方向へと軌道修正させるべく、わたしたちの主張と要求を訴えるため厚生労働省包囲行動を展開しました。

<労働法制改悪阻止のたたかいを全国からまきおこそう>
 主催者あいさつで坂内事務局長は、小泉内閣の不良債権処理の加速、大銀行への公的資金の再投入、中小企業への外形標準課税導入は、史上最悪の「倒産・失業」を作り出すと指摘し、政府の経済政策を批判しました。
 また、この10月から開始された高齢者医療制度の1割負担に引き続き、来春のサラリーマンの病院窓口3割負担の導入、年金・医療・介護保険の保険料の引上げなど大増税で、このままでは国民生活の面でも大変な事態になると述べました。
 そして、「大企業の儲け本位の施策が続けられるなかで、その規制緩和の典型が労働法制改悪である。いま、倒産は2万件にもおよび、失業は350万人となり、4年連続の賃金ダウンによって、労働者・国民の生活は不安と混乱の事態となっている。労働法制が改悪されれば、長時間・過密労働がはびこり、今でさえ民間労働者は7万円の賃金ダウンであり、公務労働者は人勧がマイナスとなって平均15万円もの賃下げになる。その上に、各種保険料の引上げで月5000円の賃下げが待ち受けている。これが社会の現実だ。本日は労働政策審議会の開催日であり、究極の改悪が論議されている。日本の社会がどうなるか問われている。現在行われている労働法制改悪は断じて許せない。」と述べ、全国から阻止のたたかいを巻き起こそうと訴えました。
 連帯あいさつで自由法曹団の小部弁護士は、「法令で確定している整理解雇の4要件を無視して大企業は、リストラ・解雇を勝手に行っている。「解雇ルールの明確化」でなく、この4要件を含めた解雇規制法を実現しよう」と訴えました。
 つづいての各氏が決意表明を行ないました。

<映演総連 梯事務局長>
「規制緩和の矛先がいま、労働者にむいている。不況が深刻化するなかで不安定雇用労働者と長時間労働が広がっている。映画の現場でも正規労働者が消え、労働法規の適用除外が増えている。東映アニメーションの現場でも事業主扱いが増え、税務署の査察で「給与労働者である」といわれ、是正をされた経験がある。労働法制の改悪は景気回復に逆行する。反対の運動を職場から広げる決意である。」

<JMIU川口副委員長>
「いま秋季闘争に全力をあげている。一番は働く職場の確保である。経営者が『このままでは経営が成り立たない。なんとしても景気の回復を』と真剣だ。人が減らされ安く使える労働者を増やしている。労働条件が切り下げされ、一時金ゼロ、賃上げなし、賃金引下げなどが次々提案され、このままでは景気回復の見込みさえ見えなくなってくる。労働者ごと売り渡す脱法・無法な行為を許さず、労働法制に断固反対する。」

<国公労連・全労働 高木副委員長>
「来春の通常国会に提出を予定している『労働法制改悪法案』は現在、経営者の要請を受け入れて内閣府の意である「先に改悪有りき」で審議が進められている。9月20日には雇用保険の認定強化が、10月1日には保険料の追加徴収が開始された。さらに給付日数の削減、給付水準の引下げなどが自民党筋で予定されている。働くルールの確立をめざして国公労連も奮闘する。」


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