全労連は、本日、内閣総理大臣と厚生労働大臣に向けて、新たな167万人の雇用対策を求めて「緊急雇用対策に関する要請書」を提出しました。
<要請趣旨>
現下の雇用・失業問題は未曾有の深刻な事態にあり、政府統計によっても8月の完全失業者は361万人、仕事がないため求職活動をあきらめている失業者を加えると1,000万人を超えています。いま、雇用・失業対策を緊急に強化することが必要です。
にもかかわらず、小泉首相は「不良債権処理の加速化」を声高に唱え、坂口力厚労相は「処理対象額が15兆円だとすれば、新たに発生する離職者は65万人程度」と公言しています。大企業を中心としたリストラも促進されており、これまでの延長線上の対策では事態はいっそう深刻化してしまうこと、新たな失業者を出さない政策に転換しない限り雇用・失業問題は改善されませんし、景気回復も困難であることは明らかです。
雇用・失業問題は最重要課題であり、全労連は、政府が今臨時国会において補正予算を編成して、次の緊急対策を具体化するよう強く要請します。
1、これ以上の失業者を生み出さず失業者を減らすために
(1)国民生活を安定させ、内需主導で景気回復をはかる方向に経済政策を抜本的に転換し、2年以内に完全失業率3%未満をめざすこと。
(2)裁量労働制、有期雇用や労働者派遣の拡大など労働法制の規制緩和と解雇しやすいルールづくりは行わないこと。
(3)これまでのリストラ支援策をやめ、雇用確保優先に改めること。労働時間短縮による雇用維持、「整理解雇4要件」をふまえた解雇規制、合併・分割・営業譲渡など会社組織の再編による解雇や労働条件の不利益変更を行わないよう企業への指導を強めること。企業倒産時における労働債権を最優先させること。
(4)中小企業労働者の雇用を守るために、下請単価の一方的切り下げや発注停止、銀行の貸し渋り・貸し剥がしなどをやめさせること。融資制度など中小企業支援策を充実すること。
(5)「構造改革特区」の設置に反対する。とくに労働分野の規制緩和や農業・病院・学校への株式会社参入など国民生活関連分野の規制緩和は行わないこと。
(6)3兆円を超える社会保障の国民負担増、給付削減計画を中止するとともに、健保本人3割負担、高齢者の窓口負担増などの医療改悪と社会・労働保険料の引き上げを見直し改善すること。
2、新たな雇用創出のために
(1)公務・公共部門を中心とする167万人雇用創出(別掲「全労連雇用創出要求」)について早急に具体化すること。
(2)政府の国際公約である1,800時間の達成、サービス残業の是正、年次有給休暇の取得促進など労働時間の短縮による雇用拡大を強力に進めること。
(3)緊急地域雇用創出特別交付金の予算規模を大幅拡充し、就労期間延長と就労保障、就労回数の対人関係業務並への拡大、対象業務の拡大、労務費の適正な積算基準設定、失業者団体・労働組合やNPOへの発注、地方自治体への交付金の増額などの改善をはかること。
3、失業者等の生活保障と就労確保のために
(1)雇用保険の全国延長給付の基準を緩和し、給付期間を当面300日まで延長すること。訓練給付も延長すること。
10月から通達で実施された「失業認定の在り方の見直し及び雇用保険受給資格者の早期再就職の促進等について」は、失業者泣かせ・受給抑制とならないようにすること。受給資格者が職業安定所の紹介を拒否できる正当な理由である「一般の賃金水準と比べて不当に低い場合」の認定基準は、改定前の「その地域の平均的な賃金」に戻すこと。
(2)失業中の税や社会保険料の減免、教育費の助成、公的機関の信用保証による住宅ローン繰り延べ措置などを実施すること。
(3)職業訓練を拡充し、希望するすべての求職者が受けられるようにするとともに、雇用保険未加入の新規求職者、学卒未就業者などに職業訓練を保障し、訓練給付金を支給すること。
(4)高校生・障害児学校生徒、大学生などの就職希望者全員が就職できるように若年者雇用施策を予算措置を含めて拡大強化すること。
(5)失業給付期間切れの失業者、新規求職者、学卒未就業者などの生活と就職促進のために失業手当制度の創設を検討することとし、当面、何等かの生活保障対策を予算措置で実施すること。
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