第32回評議員会の開催にあたって、全労連幹事会の決意を含め当面するいくつかの課題について触れながらあいさつとしたい。 また、通常国会には私たちが到底許すことのできない幾つもの重要法案の成立が狙われている。その第一は、労働諸法制の改悪である。政府・厚生労働省は「有期雇用」や「裁量労働」の「規制緩和」、「製造業への派遣解禁」など現行の働くルールのいっそうの形骸化にくわえて、労働基準法に「解雇は原則自由」であること、さらには「労使いずれかの申し出により金銭による紛争解決を認める」ことなどを盛り込む法案を上程しようとしている。また、雇用保険の給付削減と保険料の引き上げなど雇用保険制度の改悪法案も準備されている。私たちはこうした労働諸法制の改悪、とりわけ「解雇自由」を認め、「金さえ出せば首切り自由」などという労基法の改悪は絶対に容認できないし、雇用保険の改悪阻止ともども政府・国会に向けた職場や地域からの運動を緊急に強化する必要がある。具体的な取り組みについては後に提案されるが、全労連としても緊急の特別な闘争体制を確立して闘争を強化すると同時に、連合との共同や野党共同による改悪阻止の実現に向け力を尽くしていきたい。 第二は、「有事関連法案」や「個人情報保護法案」である。これらの法案の内容についてはあらためて触れることはしないが、いわれているさまざまな「修正」がされたとしてもこれらの法案の危険な本質はいささかも変わるものでなく、私たちは広範な諸階層・団体と共にこれらの法案の廃案にむけて引き続き運動を強化していきたい。 03春闘も新春早々の宣伝行動や1月21日の第一次全国統一行動を皮切りにいよいよ本番を迎えている。日本経団連は昨年12月17日に日経連による「労問研報告」に替わるものとして「2003年版経営労働政策委員会報告」を発表した。この報告では、これまでのような「春に闘うという意味での春闘は終焉したと春闘解体を宣言し、これからは春に労使で討論する春討に」といいつつ、今春闘にむけて「ベースアップは論外」であり「定期昇給の凍結・見直し」も必要と公然たる「賃下げ」攻撃を打ちだすと同時に、労使交渉の課題は「雇用の確保」が最重点であることを強調している。しかし、この財界の主張は一方で自ら大量の人減らし「合理化」で雇用不安を拡大しながら、他方ではそれを逆手に更なる賃下げを迫るという極めて不当な主張であり、全労連はこれを断じて容認することはできない。ところが、今春闘では企業が史上最高の利益を上げているにもかかわらず、大企業の主要労組の多くが賃上げ要求を見送る動きをつよめている。こうした動きは関連・下請企業や地場企業などへの大企業労組の社会的責任を放棄するものとしてきわめて残念な対応といわざるを得ない。こうしたもとで、日本経団連をはじめとする財界はさらに笠にかかって新春早々から消費税引き上げの大合唱を開始し、政府与党もこれを機に消費税率引き上げを本格的に開始しようとしている。 全労連の春闘方針は、このあと坂内事務局長から提案されるが、今春闘に当たってはすべての仲間たちの要求とそのたたかうエネルギーをどう引出すのか、全員参加型の運動と地域の労働者や住民に見える国民総決起の地域春闘をどれだけ徹底して追求するのかが反転攻勢への転機をつかむ重要なカギを握っている。くらしや雇用の問題では要求での一致点が広範な労働者の中に拡大している。小泉構造改革に反対するさまざまな分野でのたたかいもかつてなく広範に広がってきている。これらのことは、私たちが大胆に広範な労働者や諸団体に呼びかけていくならこれまでなく大きな労働組合間の共同や国民的共同を地方・地域から前進させることができることを具体的に示している。問題は私たち自身がどれだけ体を動かして積極的な働きかけをおこなっていくかにかかっている。 全労連は、昨年の厚労省の発表で日本の労働組合組織率がいっそう低下し、労働組合数や組織労働者数が大きく後退する中でも6千人の増勢が確認され新しい年を迎えた。このことは、たたかう労働組合こそ労働者に希望と展望を示していることをあらためて明らかにしている。評議員会で予備提案する「組織拡大推進基金」はこうした全労連の組織拡大をより飛躍させるために提案するものであり、是非とも積極的に受け止めていただきたい。 |