第74回メーデーは、好天に恵まれ全国376会場で開かれた。第74回中央メーデーは、東京・江東区の亀戸中央公園に約6万人が参加し、主催者あいさつをおこなった全労連の熊谷金道議長は、「労働者使い捨て、首切り自由を公認する労働法制改悪を断じてゆるさない。平和をめぐっても、国民に戦争協力を強要する有事法制の成立を許さず,いまこそ、暮らしと雇用、いのちと平和を守るため、総決起しよう」とよびかけた。
第74回中央メーデー/主催者あいさつ
第74回メーデー実行委員会
代表委員 熊谷 金道(全労連議長)
第74回中央メーデーに参加の皆さん、また、事務局や要員の皆さん、ご苦労様です。実行委員会を代表して、直面する幾つかの課題にふれてご挨拶とさせていただきます。
第一に強調したいことは、「首切り自由化」阻止のたたかいについてです。
小泉政権と財界は、国際競争力を口実に総額人件費抑制攻撃を徹底し、大規模な人減らし「合理化」と不安定雇用労働者への置き換え、定昇廃止を含む賃下げ攻撃などを労働者に強要しています。これらは労働者の雇用とくらし、家庭生活を破壊し、未来を担う若者たちの将来への希望を奪い、成果・業績主義は長時間・過密労働やタダ働きを横行させ、過労死・過労自殺により労働者の命まで奪う異常な状況すらつくりだしています。
これに追い討ちをかけ、「使い捨て労働者」をつくりだすのが、3年の有期雇用や派遣労働を認め、「首切り自由化」を公認する労働諸法制の改悪法案です。しかし皆さん、儲けのためには労働者の命ともいうべき雇用を企業が勝手に打ち切っても良いなどという法案を私たちは絶対に許すことはできません。5月の連休明け早々から、国会審議の重要な山場を迎えようとしています。今日のメーデーをバネに、職場からの署名や地元選出議員への働きかけ、国会・政党へ向けての行動強化に全力を挙げて奮闘しましょう。
第二には、労働者・国民が力を合わせた国民総決起の重要性についてです。
小泉政権の新自由主義と市場原理による「弱肉強食」の「構造改革」は、大企業への減税やリストラ支援の他方で、医療保険など社会保障の相次ぐ改悪や国民への増税、公務員制度や教育基本法の改悪、住民サービス切り捨ての自治体リストラと市町村合併の押し付け、貸し渋りや貸し剥がしによる中小零細企業の倒産・廃業、輸入自由化による農漁業切り捨てなど、すべての国民諸階層に耐えがたい痛みを押しつけています。大企業もまた、国際競争を前面に関連下請けの切り捨て、単価引き下げやアジア価格の強要、生産拠点の海外移転や製品・部品輸入による工場閉鎖・縮小で地域経済を疲弊・空洞化させています。
こうした状況を打開し、私たちのくらしや地域経済をまもっていくためには労働者・国民が力を合わせ、この国の経済や政治の舵取りを抜本的に変えていく共同、総決起の運動を全国各地から発展させていくことが不可欠になっています。共にがんばりましょう。
最後は、国内外における平和をめぐる問題についてです。
世界中に広がる戦争反対の声や国連を無視した米英などのイラクへの武力攻撃は、罪のない多くの市民を殺戮し、フセイン政権を崩壊させ、大量破壊兵器も見つからないままに米軍などの不当な占領・支配体制がつくられようとしています。私たちは、こうした国連と国際ルール無視のブッシュ政権の世界戦略を絶対に容認することはできません。
国内的には、各国に先駆けて米英の武力攻撃支持を表明した小泉政権が、アメリカの無法な戦争に日本を巻き込み、自治体や民間に戦争協力を強制する「有事関連法案」を一部の野党を巻き込んで成立を狙い、さらにはイラク「復興支援」と称して憲法違反の占領支援要員派遣や国民への増税を画策しています。私たちは、これらの策動を厳しく糾弾・阻止するために皆さんと共に全力を挙げて奮闘するものです。
また、北朝鮮の核兵器保有がいわれ、その瀬戸際外交が世界に新たな緊張を引起こしていますが、私たちは北朝鮮に核開発政策放棄や拉致問題の解決を強く求めると共に、外交交渉での平和的な問題解決を日本政府や国連などに働きかけ、アジアとりわけ東アジアにおける平和的共生を追求していくものです。
メーデー参加の皆さん、「額に汗して働く者」が軽視され、384万人もの完全失業者や年間3万人以上の自殺者、後を絶たない過労死や過労自殺などに目をつぶり、一握りの大企業だけが利益を貪ることが許される社会に未来はありません。自民党型政治に反対し、情勢を変えようという新たな動きが様々な分野や地域で大きく輪を広げています。
職場の主人公は労働者であり、社会の主人公は一人ひとりの国民です。いまこそ、職場や地域から「小泉内閣の悪政ノー」「大企業の横暴ノー」の声を高々と上げ、「くらしと雇用、いのちと平和を守るため」に全国各地でみんなの力を合わせて総決起しましょう。
第74回メーデーの成功を力に、世界の労働者とも連帯し、意気高く前進しようではありませんか。以上をもって主催者のご挨拶とさせていただきます。
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