【特別決議】
いまこそ、政府の責任で
1047名JR採用差別事件の早期解決を

 全労連はJR採用差別事件を「労働運動再生の環」としてたたかいをくり広げ、地方・中央労働委員会からの救済命令、ILOからは5回の勧告・報告を引き出し、最高時600万の署名を集約するなど、国内外の運動を大きく前進させてきた。

 昨年末に出された最高裁判決は、裁判官5名のうち3対2の僅差で「JRに法的責任がない」と上告棄却の不当判決を言い渡した。その内容は、事実と道理に反してあまりにも形式的な判断であり、憲法、ILO条約を踏みにじるものとしてまったく許されない。

 しかしこの不当な判決ですら、東京高裁判決の「国是に反対する者に差別があっても不当労働行為とは言えない」との論は退けられ、労働委員会が認定した不当労働行為の存在も否定できなかった。一方、裁判長ら二人の反対意見は「JRに使用者責任がある」ことを明記するとともに、多数意見は「国会審議を軽視」と批判し、全動労組合員に差別的な取扱いがなされたことが推認されるとして、破棄差し戻しを主張した。ここに、運動の到達点と世論の反映、今後のたたかいの足がかりが示されている。

 判決を契機として、今こそILO勧告が再三にわたって指摘する通り「政府が公正な解決を見出す方向で努力を追求すること」が緊急の課題として求められている。マスコミ各社も「政府が解決をはかる努力を」と報道している。もはや、「政治の動向を見守る」「裁判の動向を見守る」との言い逃れはいっさい通用しない。同時に、今回の判決をもってしても、国民の共有財産である旧国鉄の財産を引き継いだJRの社会的・道義的責任は免れない。

 今評議員会は「政府の責任でILO勧告にもとづき、1047名のJR採用差別事件の早期解決を求める」100万人署名に取り組むことを全体で確認した。署名行動を軸とした国民世論の広がりの中で、政府・関係省庁に対し解決交渉の場を作ることを求める。合わせて、17年に及ぶ全動労争議団・家族のたたかいを財政的に支えるためにも、「全動労争議団を勝たせる会」の会員拡大に向け全力をあげるものである。

 いま国際競争力の強化と称して、すべての産業・職場でリストラ「合理化」が強行され、「国鉄改革」を手本にして「小泉構造改革」が強行されてきている。全労連はNTT11万人リストラ、国立病院の賃金職員雇い止めなど、働く者の雇用と労働条件切り捨てに反撃するたたかいと結合させ、国鉄闘争勝利の展望を切り開く先頭に立って奮闘するものである。

右決議する

 2004年1月23日

全国労働組合総連合第34回評議員会



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