『官から民』で国民の安全守れるか
「もうひとつの日本闘争本部」がシンポ開く

写真 全労連「もうひとつの日本闘争本部」主催の「小さな政府を考える」シンポジウムが、1月26日開催され181人が参加した。同シンポジウムのテーマは、「『官から民』で国民の安全は守られるか」と題し国民的問題となっている耐震強度偽装問題に焦点をあてたもの。清水謙一(東京土建一般労組書記次長)・辻村定次(建設政策研究所専務理事)・岩狭匡志(自治労連八尾市職労書記次長)・河合敏男(日弁連消費者問題対策委員・弁護士)・大平誠(毎日新聞社会部記者)の5氏がシンポジスト、永山利和(建設研究所理事長・日本大学教授)がコーディネーターを務めた。約3時間に及ぶ討論で、規制緩和の影の部分が浮き彫りにされ、永山氏は「日本の構造の再構築が今求められている」とまとめ、「小さな政府」=構造改革路線への警鐘を訴えた。

 辻村氏は「今回の構造設計計算書偽造事件は、住宅・建築物の有する社会性を軽視し、一般商品と同列に民間企業任せの市場競争原理に委ねる大転換の流れで生じた事件」と指摘した。大平氏は、「取材時に『経済設計』という言葉が良く出てくる。これは、本来単価の積み上げでなく、坪当たり単価を先に決めるということが土台にある」。清水氏は「必要な時に安く使うとする重層下請け構造は、ゼネコンが作ってきた」。岩狭氏は「『官から民』によって自治体の検査機関の質・量が後退している。エンドユーザーの立場に立った検査が困難」と指摘。河合氏は、「安全な居住の権利は、憲法上の権利」と主張した。

 会場から、中島武敏元衆議院議員が当時の国会審議の状況を報告し、「一番の問題は規制緩和にあり、検査機関を民間に丸投げし、ゼネコン・ハウスメーカーが検査機関を作り、自らの建築物を検査している。これで公正・中立が担保できるか。ヒューザーなど当事者の責任は当然だが、根本的には政治・政党が問われるべき」と述べた。


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