8月31日、6月末以来中断していた第60回労政審労働条件分科会が2カ月ぶりに再開された。これを受け、全労連は開会時間前に厚生労働省前で宣伝を行った。全労協、派遣労働ネットワーク、日本労働弁護団、全国安全センター等の団体と交互にマイクを握る形となった。
全労連労働契約法制闘争本部長の生熊副議長(JMIU委員長)はあいさつで、「最大の問題は労働時間規制撤廃だ。際限なく働かされ、過労死や健康破壊に行き着く。就業規則の変更も過半数組合の合意があれば、一人ひとりが合意したとみなされて変更できてしまうということも問題で、労働条件切り下げが自由にできることになる。解雇の金銭解決もでており、これでは『タダ働きさせ放題、労働条件切り下げ・解雇のやり放題』になる。こんな労働契約法案や労働時間規制を撤廃する労働基準法の改悪法案を阻止するため、ともにがんばろう」と呼びかけた。
第60回分科会では、事務局から、契約法制と労働時間法制についての労使の意見を整理した「労使の主な意見」が提出された。前回審議会で、労使の意見の乖離が著しいのに、強引に「中間とりまとめ」を行なおうとした事務局の審議運営が問題とされただけに、再開した分科会のスタートに必須の資料といえる。それをふまえ、冒頭、労側から「6月に事務局が提出した『素案』は撤回されたのか」と、幾度も確認がなされた。事務局の答弁は歯切れが悪かったが、「今日の審議会でまとまればそうなる」とされた。
労働側委員からは、連合の「労働契約法案要綱骨子(案)」がだされ、使用者が一方的に定める就業規則は契約法からはずすことや、労働者保護・差別禁止などの基本を押さえた上で、労使の話し合いを促進するものとすべき、などの主張がなされた。
使用者側は、労使自治が基本で画一的規制は反対としつつ、ホワイトカラー・イグゼンプションから審議せよ、金銭解決は必要、裁量労働制の導入要件緩和・対象拡大をせよ、などの意見がだされた。
労使で意見の一致している点は、来年国会に法案上程という「日程ありき」の審議には反対という点と、一致する点から議論をするということであった。
最も議論が集中したのはホワイトカラー・イグゼンプション。使用者側は、時間にしばられない「自律的働き方」は広がっているし、これからの日本には必要と繰り返し主張した。そのなかで、「やってみたい人に選択肢をひとつ拡大するだけ、ただそれだけのことで大げさなことではない」(紀陸委員)と言う一方、「ホワイトカラーすべてに適用除外を入れ込まないと成り立たない」(奥谷委員)との発言もあり、使用者の建前と本音が交差する場面もあった。
労側は、過労死すらおきている長時間労働が、とりわけホワイトカラーで多い実態をふまえれば、使用者の安全管理責任を免除し、長時間労働を助長するイグゼンプションは絶対に認められない。評価制度の話と労働時間規制の話を、ごちゃまぜにするな、と反論がなされた。
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