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【談話】「雇用保険法等の一部を改正する法律案要綱」について

2007年1月10日
全国労働組合総連合
事務局長 小田川 義和

1.1月9日、厚生労働省は、「雇用保険法等の一部を改正する法律案要綱」をとりまとめ、労働政策審議会(会長:菅野和夫明治大学法科大学院教授)に諮問した。法案要綱の内容は、国庫負担の削減、07年度からの保険料率の引き下げ(1.6%から1.2%へ)、雇用福祉事業の廃止、短時間労働被保険者の廃止・一般被保険者との一本化、季節労働者などに支給される特例一時金の削減、教育訓練給付および雇用安定事業の見直し、育児休業給付制度の見直しである。今回の見直しは、行革推進法にもとづく財政制約論が全面に出されるなかで進められ、雇用政策に対する政府の責任を後退させるものとなっている。以下に指摘する点について、全労連として見直しを求めるものである。

2.法案要綱は、国庫負担額を本来の負担の55%に引き下げるとしている。懸念された負担全廃にはならなかったが、わずか3年前に「積立金が枯渇しかねなかった状況」があったにもかかわらず、大幅な削減を行い、さらに「暫定措置」として、今後の引き下げ・廃止が示唆されている。国の責任を大幅に後退させ、制度の根幹の変質させるものであり、撤回するべきである。高年齢雇用継続給付に係る国庫負担の廃止についても、撤回を求める。年金制度改悪により、継続雇用を求めざるをえなくなった多くの高年齢労働者の賃金・労働条件は、現役時を大幅に下回っている。65歳定年制と賃金・労働条件引き下げ禁止が確立されない限り、同制度は必要である。

3.自己都合離職や期間満了者等の受給資格要件を見直し、現行の6月・月14日以上から12月・月11日以上へと変更するとしているが、これではひどい労働条件・雇用環境でも、最低1年我慢しなくては雇用保険を受給できないことになる。「循環的な給付や安易な受給」を防ぐためというが、そうしたケースは少数である。審議会資料によれば、被保険者期間1年未満は全体の6%(期間満了者2.5%、自己都合・重責解雇3.6%)にとどまる。しかも、このうち意図的に「安易な受給」をしている人は、さらに少ないとみられる。有期労働契約の適切な規制が確立されていないもとで、短時間労働被保険者と一般被保険者との受給資格要件の一本化をするのであれば、6月でそろえるべきである。

4.育児休業給付について、職場復帰給付金の給付率を改善し、休業前賃金の40%給付から50%へと引き上げる点は改善であるが、雇用保険の基本手当の所定給付日数に係る算定基礎期間から、育児休業期間を除くことは、少子化対策重視の政策方向からはずれており、現行の制度を維持するべきと考える。また、特例一時金が、現行50日分から40日分へと引き下げられることは、季節労働者のおかれている厳しい雇用・生活環境を無視した措置であり、反対である。

5.ひところに比べ、雇用・失業情勢は改善されたとはいえ、失業率は依然として4%強ある。さらに、恒常的にある業務に就く労働者も有期労働契約とされる傾向が強まっているため、半失業状態の不安定雇用労働者が増えている。失業者の生活保障と就労支援の充実、働くルール拡充のため、全労連は多くの未組織労働者や失業者とも共同し、奮闘する決意である。

 
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