【談話】「残業代不払い」法案は断念せよ
−「ホワイトカラー・イグゼンプション」導入法案の通常国会提出見送りにかかわって−
2007年1月17日
全国労働組合総連合
事務局長 小田川 義和
1.1月16日の記者会見で、安倍首相は「ホワイトカラー・イグゼンプション制度(労働時間規定の適用除外制度)」を創設する労動基準法「改正」法案の通常国会への提出見送りを表明した、と報道されている。
全労連は、この制度が審議の俎上にのせられて以来、「ただ働き残業」を合法化し、8時間労働制を空洞化させ、長時間過密労働を深刻化させる制度であると批判し、提案の撤回と長時間労働規制の強化を求めてきた。首相が法案提出の見送りを言明したことは、働く仲間の要求を背景として運動に取り組んできた全労連の主張を受け入れたに等しい。
とはいえ、与党は、当面の選挙でマイナスとなる要素を先延ばしにしただけであり、参院選後の臨時国会への提出を念頭においている。全労連は、政府の姑息な争点隠しを許さず、「ホワイトカラー・イグゼンプション制度」創設の全面撤回を要求するものである。
2.今検討されている労働法制の課題は、財界主導の制度改悪提案が目白押しである。経済財政諮問会議では、職安法・派遣法の改悪なども検討されている。労働者保護法制の破壊を狙う財界・政府の策動は、動きを止めていないのであり、このことに、労働者は大いに注意する必要がある。
日本経団連が明らかにした、昨年12月の「経営労働政策委員会報告」や、本年1月の「御手洗ビジョン」は、国際競争力の強化、大企業の利潤追求のためには、なんでもありの主張となっている。労働者に命を削って働くことを迫り、使い捨てをしてもなんらの痛みも感じない財界の本心をみすえ、過労死やメンタルヘルス問題、非正規労働者の増加による格差と貧困問題の解決に全力をつくし、財界・政府を追い上げていく必要がある。
今回の「緒戦の成果」を確信に、残業代割り増し率の引き上げなどの労働時間規制の強化と、ただ働き残業・偽装請負の告発を強め、労働条件の不利益変更を容易にする「労働契約法制」創設に反対するとり組みを引き続き強化する。その武器として、「働くルールの確立を求める100万署名」をかかげ、労働者保護の規制強化を求める攻勢的なとり組みへ、全労働者の参加を呼びかけるものである。
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