【談話】「労働基準法の一部を改正する法律案要綱」と「労働契約法案要綱」の答申に抗議する
2007年2月2日
全国労働組合総連合
事務局長 小田川 義和
1.本日、労働政策審議会労働条件分科会は、柳澤厚生労働大臣に対し「労働基準法の一部を改正する法律案要綱」および「労働契約法案要綱」についての答申を行なった。分科会では、労使双方から様々な質問や不十分な点の指摘、反対意見が出され、使用者の一部からは「労使の意見の一致をみないまま答申すること自体、信じられない」と強い口調での反対の意思表示まであった。こうした状況にもかかわらず、答申を強行した労働政策審議会に対し、全労連として断固抗議をする。
2.ホワイトカラー・イグゼンプション(労働時間規制の適用除外制度)の創設と「企画業務型裁量労働制」の見直しについては、労働者代表委員をはじめ、全ての労働団体が再三にわたり撤回・削除を求めてきた。しかし、厚生労働省は、社会的批判が巻き起こっているホワイトカラー・イグゼンプションについて、いたずらに「自己管理型労働制」と名称変更を施したほかは、なんらの修正もおこなっていない。労働者の意向を完全に無視した、一方的な制度づくりは、労働者を保護するはずの所轄省庁として、あってはならないことであり、この暴挙は断じて認められない。
3.「労働契約法案要綱」では、有期雇用契約で働くワーキングプア問題や、労働者性を偽装された個人事業主問題の解決が喫緊の社会的課題となっているにもかかわらず、なんら有効な手立てが講じられていない。経済的従属関係にある個人請負・委託の労働者性の定義、有期雇用契約規制、均等待遇原則、整理解雇や普通解雇の要件確立、就労請求権など、重要課題が取り残されたままの法案要綱となっている。これでは新法創設に値しない。
4.全労連はこの間、ホワイトカラーイグゼンプションをはじめとした労働法制の改悪を阻止するために全国で宣伝、署名運動を繰り広げ世論を喚起してきた。引き続き、全労連は、労働法制の改悪に断固反対し、サービス残業や偽装請負などの無法を一掃し、最低賃金の大幅引上げと全国一律制度の確立、パート労働法の抜本改正とあわせ、まともな労働時間規制と「働くルール」の確立を求めて、断固たたかうことを改めて表明するものである。
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