【談話】政府管掌健康保険の国庫負担削減に反対する
2007年9月10日
全国労働組合総連合
事務局長 小田川義和
政府・厚生労働省は、政府管掌健康保険(政管健保)の国庫負担を削減し、財源の一部を組合健保や共済組合に肩代わりさせることを検討している。社会保障関連予算の削減を既定方針とする「骨太方針」の具体化ではあるが、社会保障制度の変質と政府の責任放棄となる検討は、到底認められるものではない。より重要な問題は、医療保険制度の全体像についての国民的な議論が十分ではなく、合意が得られていない中で、医療保険制度一元化の第一段階と位置づけた検討とされていることであり、その点でも断じて認められない。
来年4月には後期高齢者医療制度が発足する予定となっているが、これによって組合健保などの保険者は過大なまでの新たな負担が求められ、運営にさらなる困難が持ち込まれる。それと同時期に、さらに負担を増やそうという方針を立てることは、とうてい理解できない。政府・厚生労働省は、保険者の健全な育成と国民の生存権保障の一義的な責任を負う厚生労働行政のそもそもの立場に立つべきである。
そもそも政管健保は、組合健保を結成できない中小零細企業を対象としたものであり、国庫補助は経営基盤の弱い中小零細企業を支援しつつ、従事する労働者の福利厚生を保障するものである。企業規模間格差を是正する意味でも、不当にも引き下げられたままの国庫負担割合を、せめて法定の16.4%に引き上げることこそ求められる施策であり、その検討を強く求める。
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