【談話】「連立」を論議すること自体が国民に対する裏切り行為 - 自民、民主両党党首の「密室会談」に端を発した政治的混乱状態についての談話 -
11月2日の自民党、民主党の党首会談で両党の連立が議論され、その議論を持ち帰って役員会で拒否された民主党・小沢代表が、「不信任を受けた」との口実で11月4日に辞任を申し出るという政治的な混乱が生じた。安倍前首相が、突然、政権を投げ出してから約2ヵ月後に、参議院選挙で勝利し多数を占めた政党の党首が、政権党との連立を求めるというところに、これまでにない政治状況の特徴が表れている。
相次ぐ政治的混乱の根底には、国民の望む政治と、国会内で論議される政策とに乖離があると考える。
参議院選挙で示された国民の意思は、国会内の数に頼った強引な政治を繰り返した自公政権に「お灸を据える」程度のものではなく、国民にとって耐え難いまでに深刻化した貧困の広がりや、拡大し続ける格差、雇用の不安定化を推し進めてきた「構造改革」の修正を迫るものであった。そのことは、選挙前後の世論調査結果などからも明らかだと考える。
しかし、安倍前首相は、「テロ特措法」の延長をもとめるアメリカなどの圧力と参議院では政権党が過半数を割るという国会状況の狭間で政権を投げ捨て、小沢民主党代表は自衛隊の海外派遣を恒久化する政府方針の転換を求めて「連立」を模索した。
厳しさを増し続ける国民生活を重視した政策論議よりも、憲法を逸脱した「戦争をする軍隊を持つ国」への転換を優先するという逆立ちが繰り返される限り、政治的混乱と混迷は収斂しないと考える。したがって、国民本位の政治か、軍事優先の政治かを争点に、早期に総選挙を実施し、国民の信を問うよう改めて主張する。
党首会談で福田首相は、政府が国会提出している「テロ特措法新法」の成立にこだわらない姿勢を示したとも報道されている。国民の目の届かない「密室協議」であるため事の真意は定かではないが、仮に事実とすれば、行政府の長としての責任を放棄し、党利党略を優先した行政の私物化と言えるものであり、厳しく糾弾しなければならない。
また、衆議院と参議院の構成に「ねじれ」があることをもって、「大連立」を正当化する論議もあるが、これに与することはできない。民主主義の原理にのっとり、国民世論を受け止めた真摯な論議を尽くすことで、国民生活の改善に寄与する施策は前進するものと考える。その端緒は、「被災者支援法」改正をめぐる与野党協議にも出始めている。
国民の意思や政治への期待を裏切る「密室協議」ではなく、国民生活重視の立場で、少数意見にも十分配慮した国会審議の活性化を強く求める。
2007年11月6日
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