本日、労働者派遣法の見直しを検討している厚生労働省の労働政策審議会労働力需給調整部会は、公益委員による中間報告を発表した。
その内容は、登録型派遣、派遣受入期間、派遣労働者への雇用申し込み義務、事前面接の解禁、紹介予定派遣等については労使の意見の隔たりが大きいとし、結論を先送りして学識者からなる研究会を新設して審議を続けることを提言している。また、違法、不法が指摘されている日雇い派遣などについては、規制強化を図るため必要な指針や省令の整備を急ぐことを求めている。
審議会でこの中間報告を了承したことから、厚生労働省は08年通常国会での労働者派遣法の改訂を断念し、09年通常国会に向けて審議を進める見込みとなった。
1999年の労働者派遣法改悪以降の派遣労働の拡大は、違法の蔓延や労働者の無権利、低労働条件の温床となり、雇用破壊の元凶となっている。したがって、登録型派遣の禁止など労働者派遣法の抜本的改正は緊急の課題であり、労働者の働きかたの実際をふまえれば、審議会においてその合意が形成されなかったことは極めて残念である。
全労連は厚生労働省に対し、派遣労働者の実態を見極め、使用者側の反対、規制緩和要求に躊躇することなく、貧困と格差を解消し、安定した雇用を確保するために、労働者派遣法の規制強化・抜本的改正に取り組むよう求める。
なお、審議会が提案している学識者からなる研究会での議論でも、実態をつぶさに検証し、労働者派遣は本来限定的な制度であることを前提に、派遣労働者や労働組合などの意見が十分反映される必要がある。全労連は、最低限、議論を一般公開し、広く実態のヒヤリングを行なうことを求める。
全労連は、登録型派遣の禁止、派遣労働者の雇用安定と権利の確立など労働者派遣法の抜本的改正を求めて、引き続き奮闘する決意である。
資料 労働者派遣制度の検討状況について(労働力需給調整部会中間報告)(案)【PDF 423KB】