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【談話】国民生活重視の予算執行を強く求める-08年度予算成立にあたって-

2008年3月31日
全国労働組合総連合
事務局長  小 田 川 義 和

 08年度政府予算は、2月28日、参議院本会議で否決された後、憲法第60条の規定による衆議院の議決優先で成立した。同時に、歳入・税制関連法案については年度内に成立しないことが確実となり、租税特別措置法の期限を5月末まで延長する「つなぎ」法案の成立は見込まれるものの、道路特定財源については暫定税率とかかわる2兆6千億円の税収確保ばかりでなく、その執行の根拠も欠く状態での予算成立となった。
 また、在日米軍への「思いやり予算」の執行とかかわる日米特別協定を3年間延長する「新協定」の国会承認も年度内に行われず、同予算の執行も留保される状況にある。
 全労連は、成立した予算が、直近の選挙結果に示された国民の意思を反映しておらず、その点でも正当性を欠くものと考える。政府・与党に対し、多くの世論調査結果でも国民の多数が暫定税率の再引き上げに反対していることに率直に応え、成立させた予算を使い切るために暫定税率を復活させるなどの法案成立に固執することなく、道路建設計画の見直しも含めた対応を行うよう強く求める。

 今、国会には、野党共同で稀代の悪法=後期高齢者医療制度の廃止を求める法案が提出されている。また、日雇い派遣の禁止などの労働者派遣法の抜本改正をはじめ、規制緩和の行き過ぎを是正して、労働者の雇用と賃金の安定を求める国民世論が高まっている。
 さらには、目先の儲けのみを追求する「投機マネー」の行動が穀物などの原材料や原油を高騰させ、生活関連物資やサービスの物価上昇となって国民生活や中小企業の経営を危機に陥れはじめていることから、必要な対策を政府に求める世論が高まっている。
 これらの国民世論は、社会保障費の削減と規制緩和を中心とする「構造改革」やアメリカ追従の軍事優先の施策の行きづまりの深刻さのあらわれであり、政策転換を求める国民意思の表れにほかならない。揮発油税等の暫定税率を向こう10年間もとり続ける悪法や、2000億円をこえる米軍への「思いやり予算」を執行するための「新協定」の承認が行われなかったことは、政治的駆け引きだけではなく、国民の世論と運動が反映したものである。

 国民が求めているのは、政治の方向を国民本位に転換することである。
 その点で、揮発油税の暫定税率を廃止し、道路特定財源の一般財源化をはかること、後期高齢者医療制度などによる医療難民、介護難民の発生を防ぐこと、労働者派遣法の抜本改正や最低賃金法の大幅引き上げを可能とする中小企業対策をおこなって非正規労働者の雇用と生活を安定させることなどは、本国会で実現すべき喫緊の課題であると考える。
 福田首相は、2009年度からの道路特定財源の一般財源化などの提案を3月27日の記者会見で行っているが、それも契機に、08年度での道路中期計画の中止も含め、予算組み替えも視野に入れた国会審議が早期に再開されるよう強く期待する。

 
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