【談話】米兵によるタクシー運転者殺害に厳重に抗議し、日米地位協定の抜本改正を求める
2008年4月4日
全国労働組合総連合
事務局長 小田川 義和
神奈川県横須賀市で3月19日、タクシー運転手の高橋正昭さん(享年61歳)がタクシーの車内で刺殺された事件について、その容疑者としてアメリカ海軍横須賀基地内に拘束されていた同基地所属の米兵が4月3日、ようやく神奈川県警に逮捕された。
殺害された高橋正昭さんは、全労連加盟の産別組織である自交総連・東京地連安全自動車品川労組の組合員であり、残酷非道な手段で殺害した容疑者米兵に対し強い怒りを覚える。
米軍横須賀基地は、長期にわたって逃走中の所属兵士を取り押さえることなく、結果的に殺人を犯さしめた監督責任は重大である。しかも、明らかな物的証拠があったにもかかわらず、日米地位協定を盾に2週間にもわたって日本の警察に引き渡さなかった在日米軍の横暴に厳しく抗議する。
殺人という凶悪な犯罪の容疑者を目の前にして、すぐに事情も聞けず身柄も確保できないという事実は、日米安保条約と地位協定の米軍優位の不平等条約の問題点を露にした。それにも関わらず福田首相は、日米地位協定の見直しはせず、運用の改善にとどめるとしている。これは、米兵の犯罪による被害者やご家族の気持ちを踏みにじるとともに、対米追随の姿勢を相変わらず示したものであり許されない。
無抵抗の運転者を後ろから襲う凶暴な犯行は、日常的に殺人訓練を行う米軍の非人間的な教育と無関係ではない。日本には、沖縄をはじめ4万人余りの米軍が駐留しており、その大部分が殴り込み部隊の海兵隊に所属している。これら部隊は、人を人と思わない、徹底した殺人のための訓練が行われており、現にイラクなどで戦闘行為を行って多数の女性や子どもまで殺害している。今回の事件は、そうした、殺人集団化した米兵が多数駐留していることの危険性を如実に示した。
全労連は、容疑者米兵の日本側による厳正な捜査と処罰、高橋さんとご遺族への謝罪と補償、事件の再発防止をつよく求める。
米兵による殺人、暴行、窃盗などの凶悪犯罪は、米軍基地があるゆえに引き起こされる犯罪であり、その根絶のためには、日米地位協定の抜本改正が必要であることは言うまでもない。より根本的には米軍基地の整理縮小・撤去、ひいては日米安保体制の解消が必要不可欠である。全労連は、そのために引き続き全力をあげることを表明する。
以上
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