【声明】「正社員化」の流れを加速させよう
22008年4月10日
全国労働組合総連合
事務局長 小田川 義和
この春、流通・サービス業では、改正パートタイム労働法の施行にあわせ、パート労働者を正社員化する企業が目立っている。それに比べると及び腰とはいえ、大手製造業でも、派遣労働者を直接雇用に、そしてまれにではあるが正社員化する動きが、ようやくみられるようになってきた。そのことを全労連は歓迎し、発足させた「非正規センター」のとり組みを強め、流れを本格化させる決意を新たにする。
この間、全労連と構成組合は、偽装請負、禁止業務への派遣、二重派遣、契約中途解除などの派遣にまつわる違法行為を告発し、派遣労働者を使い捨てにする企業の姿勢を批判しつつ、企業のぼろ儲けの根源に、非正規雇用の増加があることを指摘し、状況の改善を求めてきた。こうした取り組みで、究極の労働法制の規制緩和である「労働ビッグバン」をくい止め、政府に対し、違法行為の規制を強化させてきた。また、ナショナルセンターの枠組みを越えて、労働者派遣法の抜本改正を求める世論と運動を広げ、野党のみならず与党の一部からも「派遣法見直し」の声があがる状況を作り出してきた。
労働者派遣をめぐる状況変化は、コスト削減のために労働者を使い捨てしてきた大企業をも揺り動かしている。昨年末、偽装請負状態を告発した労働者を正社員にした光洋シーリングテクノは、その先駆である。そして、ここに来て、日本経団連の会長企業であるキャノンが、12000人の労働者派遣契約を解消し、6000人を期間工として直接雇用し、残りを請負に切り替える方針を明らかにした。いすゞ自動車は、派遣・請負労働をなくし、直接雇用や正社員化の制度を整備する方針を示した。コマツも、09年3月までに派遣社員を期間社員にするとしている。
ただし、派遣でなくなったとはいえ、多くは有期の期間工か請負への切り替えにとどまり、不安定雇用である点に変わりはない。独立行政法人労働政策研究・研修機構の調査では、「終身雇用を支持する」との回答は86.1%、「年功賃金を支持する」は71.9%にのぼる。つまり、大多数の労働者は安定した雇用と先の見える賃金を求め続けている。
全労連は、独自の法案要綱で明らかにしているとおり、派遣労働については、臨時・一時的かつ専門性の高い業務に限定し、日雇い派遣を禁止するなどの労働者派遣法の抜本改正が早期に実現されなければならないと考えている。さらに、派遣労働や有期雇用を例外的なものとし、期間の定めのない労働契約、すなわち正社員化を求める運動を強める。それらの運動の象徴的な課題として、徳島・日亜化学に対し、JMIUの組合員を正社員として雇用するとの約束を、即時実行することを強く求める。
以上
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