【談話】政府は名古屋高裁の違憲判決に従いイラクからの自衛隊撤退を!
2008年4月21日
全国労働組合総連合
事務局長 小田川義和
名古屋高裁は4月17日、イラク派兵差止め訴訟の控訴審判決で、「イラクで米兵を輸送する航空自衛隊の空輸活動は、イラク特措法にも憲法9条にも違反する」「平和的生存権は、憲法上の基本的人権の基底的権利であって具体的権利性を有する」との画期的な判決を下した。
この判決は、私たちが「戦闘地域であるイラクに、アメリカ軍支援のために自衛隊を派兵するのは憲法9条違反」と主張し、イラク派兵反対、即時撤退を要求してきたことの正当性を司法の判断が裏付けたものである。
同時に、「自衛隊のいるところが非戦闘地域」と強弁して、米兵や軍事物資の輸送に参加するために強行された「イラク特措法」の違憲性を認定したにも等しい名古屋高裁判決は、なし崩しの自衛隊海外派兵を企てる政府をも断罪するものである。
判決に対して、福田康夫首相は「裁判のためどうこうする考えはない」と述べ、町村信孝官房長官は「違憲判断部分は「(判決のなかの)傍論だ」と述べるなど、派兵継続に固執し、判決を軽視する姿勢をとり続けている。そればかりか、自衛隊制服組の空幕長は、自衛隊員の「声」だとすり替えて「(判決なんか)関係ねえよ」とまで発言している。
法治国家において、「法の支配」に服することが最も強く求められるのが政府であり、権力を行使する公務員であることは自明のことである。判決が、イラクにおける自衛隊の活動実態の違憲性を断罪している以上、撤退を含めた抜本的な対応が、政府には求められることになる。それを無視することは、法治国家としての基本をみずからふみにじる行為であり、到底許されるものではない。
わたしたちは、政府が判決を契機に、イラクから航空自衛隊を撤退させることをつよく要求する。判決を正面から受け止めた対応を政府に迫る国民的な運動を強め、イラク・アフガンからの自衛隊の全面撤退、自衛隊の海外派兵恒久法成立阻止のたたかいを発展させる。引き続き、憲法第9条擁護のために全力をあげる。
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