TOP 全労連紹介 ニュース オピニオン 労働法制 賃金闘争 憲法・平和 くらし・社会保障 非正規全国センター 全労連共済 青年 女性 English
 
BACK
TOP
オピニオン
 

【談話】派遣先企業の法的責任を認定した判決を高く評価する- 4月25日、松下電器子会社にかかわる大阪高裁判決についての談話 -

 4月25日、大阪高裁(若林裁判長)は、松下電器の子会社(松下プラズマディスプレイ)の偽装請負を告発していやがらせをうけ、解雇された労働者が訴えていた事件の控訴審で、原告の主張を全面的に認める画期的な判決を下した。

 製造業などに蔓延する偽装請負の実態を直視し、「派遣先」企業の法的責任を認定したこの判決は、これまでの労働契約の解釈をも乗りこえるものである。違法を告発し、正規・直接雇用を求めるたたかいが司法にも反映し、無権利状態におかれやすい派遣労働者に光明を照らし、派遣法抜本改正の運動を激励する大阪高裁判決を高く評価する。

 判決の意義の第1は、原告と「派遣先」企業との間に直接の雇用契約関係が継続して成立していることを認め、期間満了を理由とする解雇を無効とした点である。
 一審の判決では、偽装請負状態にあることは認定したが、「派遣先」企業との雇用契約の成立は認めなかった。高裁判決は、偽装請負による労働者と「派遣先」企業との法的関係は、労働者供給事業を禁止する職業安定法や中間搾取を禁止する労働基準法に照らして、公序良俗に反する行為であり無効な請負関係とした。その上で、労働実態から判断して、黙示の雇用契約関係が成立し反復・継続していることを認定した。
 そして、偽装請負が指摘された後、その「是正」策として短期間、直接雇用して、期間満了時に解雇(雇い止め)したことを無効とした。
 偽装請負という違法行為をおこなった「派遣先」企業との雇用関係を認定した点で、判決の意義はきわめて大きい。

 判決の、もうひとつの意義は、違法な配置転換での「業務に従事する義務」を否認したことである。
 一審の判決では、直接雇用後の労働者の配置転換が偽装請負を告発したことへの嫌がらせであることは認めたが、「その業務に従事する義務はない」とする請求は棄却していた。高裁判決は、内部告発への報復としておこなわれた配置転換では「その業務に従事する義務がない」ことを明確に認定している。
 配置転換などの人事権を不当に行使して嫌がらせをおこない、労働者に退職や転向を迫る人権侵害が後を絶たない中で、この判決は、労働者を大いに激励するものである。

 判決の意義をふまえ、労働者派遣法抜本改正を求めるたたかいをはじめとする「働くルール」確立の運動をさらに強める決意である。

2008年4月28日
全国労働組合総連合
事務局長  小 田 川 義 和

 
〒113-8462 東京都文京区湯島2−4−4全労連会館4F TEL(03)5842-5611 FAX(03)5842-5620 Email:webmaster@zenroren.gr.jp

Copyright(c)2006 zenroren. All rights reserved.