【談話】後期高齢者医療制度廃止法案の提出を歓迎し、成立をめざした奮闘を呼びかける
5月23日、野党4党の共同提案で、標記の廃止法案が参議院に提出された。75歳と言う年齢だけで医療保険制度を区分し、所得のないお年寄りからも保険料を徴収する制度は「姥捨て」政策にほかならない、年齢によって提供される医療サービスに差をつけることは憲法第14条に違反する差別政策だ、国民負担を自動的に引き上げる医療制度改悪は中止しろ、などと主張してとり組みを進めたことが反映した廃止法案の提出であり、心から歓迎する。
このような状況の変化をふまえ、6月15日までの通常国会会期中に廃止法案を成立させるため、地元選出国会議員への要請行動の集中、5月30日、6月11日に配置している中央行動や国会行動に結集した国会包囲行動への参加、とりわけ与党への要請文の集中など、労働者、労働組合の集中したとり組みを強く呼びかける。
政府などは、「後期高齢者医療制度の理念は間違っていない」とし、制度の一部手直しで、国民の批判を逸らそうとしている。そればかりか、一面的な主張で塗り固めた「財政論」を持ち出して医療など社会保障拡充要求を逆手にとった消費税率引き上げを画策し、高齢者医療費が社会保障費増加の「主犯」であるとする世代間対立を煽る宣伝さえおこなっている。
老齢化は誰にも平等に訪れるものであり、加齢によって病気になる確率が高まることも避けられない。高齢者に限らず、医療費の多くが終末期に集中することも一般的である。そのような医療の特質をふまえた社会保険制度による医療が構築され、不十分さはあるものの、社会の安全網として機能してきた。
それが、昨今の「構造改革」によって掘り崩され、医療崩壊とまで言われる深刻な事態を引き起こしている。小泉、安倍、福田政権と続く「構造改革」という政府の施策によって、医療制度、医療保険制度の空洞化や劣化が進み、その矛盾が高齢者などの経済的弱者に集中してきているのである。
経済的弱者の高齢者に自己責任を迫り、社会に貢献し続けてきたお年寄りに医療の抑制をせまるという「誤った理念」に基づく制度だから国民の怒りが沸騰していることを、政府は率直に認めるべきである。
後期高齢者医療制度は廃止するしかない。その上で、社会保障制度全体との関係もふまえ、国民皆保険を前提とする医療制度のあり方とともに、大企業・資産家向けの減税を元に戻す、軍事費の削減、ムダな公共事業の見直しなど税の取り方と使い方について、国民的論議を尽くすよう重ねて求める。
2008年5月26日
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