【談話】08年人事院勧告にあたって
本日、人事院は、給与及び勤務時間の勧告と公務員制度改革等の報告をおこなった。
このうち、勤務時間については、1日の所定内労働時間を7時間45分に短縮するという、かつてないものである。完全週休二日制実施以降は、所定内労働時間の制度的な短縮は前進しておらず、政府が総実労働時間短縮についての目標を曖昧にし、正規雇用労働者の労働時間短縮が遅遅としている中での勧告である。労働時間短縮を前進的に変化させる契機として積極的に受けとめたい。政府に対しては、過労死ラインを超えて働く労働者が、官民ともに相当数にのぼり過労死やメンタル不全が多発している現状を直視し、仕事と家庭生活の両立支援を進めるため、勧告の早期具体化と積極的な運用を強く求めたい。
給与勧告については、民間給与との較差が136円(0.04%)の極小であること、一時金についても支給月数(4.50月)が均衡しているとして、水準の改定を見送っている。しかし、2005年勧告以来すすめている給与構造改革は「着実に実施」するとして、反対意見が多い本府省業務調整手当の新設を強行するとした。
全労連などで構成する国民春闘共闘委員会の集計では、加重平均で2.08%(前年比0.08ポイント増)の水準引き上げとなっている。定期昇給相当分を差し引いても、一定額のベアが確保されていることが推測される。それと勧告との違いは、定員純減による職員構成の変化も影響した公務サイドの平均賃金の変化にも一因があるとされている。人べらしが進んで労働密度が高まっても、一方で年齢構成が変化して賃金水準は抑制されるというのは大きな矛盾である。公務リストラが強行され続けるもとでの人事院勧告制度の矛盾であり、その解決のためにも労使対等の賃金決定システムへの早期転換が必要である。
今次勧告では、非常勤職員の給与について、俸給表との均衡にも着目した指針(ガイドライン)が示された。公務の初任給水準が、生活保護水準を下回っているという問題はあるが、正規、非正規労働者の部内均衡を重視し、公務の全国最低賃金の基準を示し、通勤手当などの諸手当を除いていることなど、同一企業内での最低賃金についての一定の方向性を示している。全労連は、これを国の非常勤職員の「指針」としてとどめるのではなく、地方自治体はもとより公務関連労働者の最低賃金の決定や、公契約における人件費単価の積算に当たっても活用することができる「指針」として評価し、08年秋以降の取り組みで活用する。
勧告を受け、公務員労働者の労働条件悪化を食い止め、改善の実利を高める取り組みは、その確定と地方段階のたたかいに移ることになる。物価高騰のもとで、「なくせ貧困、生活危機突破」をかかげてたたかう全労連08年秋闘の主要課題にこれらの点をすえ、全国的な支援の取り組みを強める。
2008年8月11日
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