【談話】新テロ特措法延長法案の衆議院可決を糾弾する
2008年10月21日
全労連事務局長 小田川義和
自民・公明与党は10月21日、新テロ対策特別措置法延長法案を衆議院本会議において採決を強行した。戦争地域に軍隊を派遣するという憲法違反の重大な法案を、わずか2日の審議で採決したことに、強い憤りをもって糾弾する。構造改革や原材料の高騰、金融危機のもとでの国民の生活苦にまともに向き合おうともしない一方で、アメリカの要求に最優先で応えるものであり、度し難い政治姿勢である。
それとともに、短期間での採決は、本会議での趣旨説明の省略と最短での採決を民主党が提案した結果でもある。新テロ特措法は「憲法違反」として廃案を国民に対してアピールしてきた立場を投げ捨てるものであり、実質的に成立に手を貸す行為として、厳しく批判されなければならない。
民主党の対応には、日米同盟基軸の基本路線から、ISAFへの地上部隊の派遣、海外派兵恒久法の制定、「国連決議があれば武力行使も可能」との憲法解釈の変更すら表明する同党の危険なスタンスが背景となっている。
アフガニスタンにおける戦争は01年以来7年に及び泥沼化するとともに、タリバンの復活が顕著であり、今年は最悪の治安状況となっている。米軍を中心とした軍事行動が民間人の犠牲を増加させ、それが憎悪をかき立てテロを拡大する悪循環となっており、カルザイ大統領すら米軍の空爆の中止を要求する状況となっている。
戦争ではアフガンの紛争は解決しないとの認識が国連の高官やドイツ、イギリスなどの政府・軍関係者にも広がり、ゲーツ米国防長官すら交渉の必要性に言及するに至っている。アフガン政府とタリバンの間での交渉が開始されたとも伝えられている。
政府与党が進める、新テロ特措法にもとづくインド洋における給油活動は、アメリカを中心とした戦争遂行に加担し、アフガニスタンの民衆を殺傷する軍事活動に日本国民の税金を投入することであり、憲法上も人道上も許されるものではない。
いま、日本に求められるのは、アメリカの要求に応えた軍事活動優先の“国際貢献”からの転換であり、憲法に基づく外交により平和的解決のためにイニシャチブを発揮することである。
与党は、国民との矛盾を激化させながらも、大企業奉仕、アメリカ追随の政治の基本を変えようとしていない。
我々は、新テロ特措法延長法案の徹底した審議と廃案を求めてたたかいを強めるとともに、憲法違反の自衛隊の海外派兵を進める自民党・公明党、そして実質的に手を貸した民主党に対し、総選挙で厳しい審判を国民に呼びかけるものである。
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