【談話】国際機関からの批判を受けとめた真摯な対応を政府に求める - ILO・ユネスコ「共同専門家委員会」の報告書にかかわって -
ILO・ユネスコ「教員の地位勧告」の適用状況を監視、促進する「共同専門家委員会」(CEART)は、本年4月に来日調査をおこない、10月29日、その結果をもとに中間報告を公表した。
CEARTの来日調査は、全労連加盟の教職員組合・全教がおこなった「指導不適切教員」政策や教職員評価制度、及び教職員組合と政府などとの交渉の実際などが、「教員の地位勧告」に反しているとする申し立てを契機としている。その申し立てについてCEARTは、全教の主張を受け容れ、すでに3回に渡って、「教員の地位勧告」遵守を日本政府に求めている。
先般の来日調査は、日本政府が、CEARTの見解をふまえた改善を措置することに消極的であることから、事態打開をめざす「問題解決のための提案」検討のために実施された。
公表された中間報告では、「指導不適切教員」の認定手続き、業績評価にかかわる協議と交渉の制度的整備、労働条件に影響する事項についての「合意に至る交渉」手続きの整備、などの問題点を指摘し、あらためて勧告している。
中間報告は、教育に従事する専門職の特殊性もふまえた評価基準のあり方や、評価結果の能力開発、処遇への反映の際の手続きの整備を求めている。その点では、教育公務員という特定の労働者の課題を扱ったものである。
重要な点は、日本で「教員の地位勧告」が完全に履行されない障害として地方公務員法などに目を向け、交渉と協議とかかわって、ILO結社の自由委員会が既におこなっている公務員制度改革にかかわる勧告に言及していることである。その点で、公務員労働者の交渉と協議にかかわる制度的整備を怠ってきた日本政府の姿勢が改めて問われている。
政府は、先の通常国会で成立した公務員制度改革基本法にそって、国、地方双方の非現業公務員に対する「自律的労使関係制度を措置」することの検討を開始しているが、今回のCEARTの中間報告は、その検討においても最大限尊重されなければならない。
「教員の地位勧告」は、教育労働者の労働条件や能力開発などにかかわって国際的な基準を提示し、「倫理的な権威」が確認されている。あらゆるものがグローバル化しているもとで、教員の地位保障や労働条件決定のシステムなどは日本独自との主張を国際社会が受けいれることはない。
今回の中間報告も契機に、教職員組合との交渉・協議の促進と、国際労働基準と整合する公務員制度の実現にむけ、日本政府が真摯な対応をおこなうよう強く求める。
2008年10月30日
全国労働組合総連合(全労連)
事務局長 小 田 川 義 和
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