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【談話】麻生内閣の「経済対策」取りまとめについて

 10月30日、麻生首相は、総額27兆円に及ぶ追加「経済対策」を発表した。「経済対策」先行で景気を回復させた3年後には消費税率引き上げを開始することや、具体的な中味は述べないままに「金融安定化の国際協調」にも言及した。
 政府は、8月にも、原油高騰などによる国民諸階層の生活苦に対する「11.5兆円規模」の緊急対策(安心実現のための緊急総合対策)を決定しているが、その後の金融危機、経済危機によって、僅か2ヵ月後に追加的な「経済対策」を講じなければならなくなった。この点だけを見ても、市場原理主義にたった「構造改革」の失敗は明らかである。

 今の時点で、政府が講ずるべき対策では、「構造改革」からの転換を明確にする必要があった。また、過剰な流動資金とカジノ経済を規制する具体的な対応策の提示が求められていた。
 しかし、明らかにされた「経済対策」は、一過性の効果しかない「給付金」などの「現金のバラマキ」、リストラ前提で融資保証をおこなうためにその効果に疑問のある「ハリボテ」の中小企業への資金繰り対策、選挙目当と受けとめざるを得ない「高速道路料金の引き下げ」などである。これでは、「構造改革」によって生活基盤が壊され、貧困と格差に苦しみ、将来不安におののいている労働者・国民の「痛み」を和らげることは出来ない。
 なお、金融危機への公的資金投入枠の拡大や株式配当などの軽減税率延長などの対策に至っては、カジノ経済を煽り、躍ってきた大銀行、大企業の責任を免罪し、カジノ経済を続ける逆立ちの施策と言わざるをえない。

 全労連は、経済危機のもとで深刻化し始めている雇用不安と、この間の「構造改革」で壊された生活基盤の再生に繋がる次の対策を早急に講ずるよう強く求める。
 第一に、輸出減少などを口実に、とりわけ派遣や有期雇用などの非正規労働者の使い捨てを強めている大手製造業などに雇用確保を迫り、直接雇用義務の履行を求め、ただ働き残業の告発や最低賃金違反の是正など、現行法制度を十二分に活用した「働くルール」の維持に総力を挙げることを求める。
 第二に、失業給付期間の延長や、職業訓練事業の充実、雇用減少が著しい地域や産業への雇用助成を早急に講ずることを求める。
 第三に、中小企業に対する銀行の貸し渋り、貸しはがしの取締りを強め、資金繰り難による倒産回避に全力をあげることを求める。また、政府保証の10割復活も必要である。
 第四に、全労連として既に政府に実施を求めている「燃料暫定税率」の廃止や定率減税の復活、後期高齢者医療制度の廃止など、「構造改革」を修正する施策の具体化を求める。

 以上のような施策の緊急な実施が求められるが、麻生内閣にそれは期待できない。深刻な労働者、国民生活をこれ以上悪化させないためにも、早期に国会を解散し、国民の審判を受けるよう重ねて求める。

 2008年10月31日

全国労働組合総連合        
事務局長  小 田 川 義 和

 
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