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【談話】実効ある育児介護休業法の改正を
 ―「仕事と家庭の両立支援策の充実について」の建議にあたって

 2008年12月25日
 全労連事務局長 小田川義和

 本日厚生労働省労働政策審議会雇用均等分科会は、育児介護休業法の改正のための報告「仕事と家庭の両立支援対策の充実について」を公労使委員の合意で確認し、厚生労働大臣に建議した。

 報告では、改正にあたって以下の点について適当であるとされている。(1)3歳に達するまでの子を養育する労働者に対して短時間勤務を措置することを義務化すること、労働者が請求すれば所定外労働を免除しなければならないこと。(2)父親が子育てに参加できることを目的に、父母とも育児休業を取得する場合には1歳2ヶ月まで延長する、父親が出産後8週以内に育児休業を取得した場合は、育児休業の再度の取得を認める、育児休業・時間外労働の免除を専業主婦(夫)について除外する規定を廃止すること。(3)子の看護休暇を子1人であれば5日、2人以上であれば10日とし、予防接種,健診も取得理由に含む、短期の介護休暇制度を設け要介護状態にある家族1人につき5日、2人以上は10日とする、育児休業の再度の取得要件に長期の子どもの疾病や保育所などの受け入れ事情の変更を追加すること。(4)不利益取り扱いは均等法の取り扱いも踏まえ、見直しを行う、苦情処理・紛争解決についても均等法と同様の仕組みを設ける、公表・過料などの罰則を設けることなどである。

 今回の報告では、労働者にとって育児介護休業がとりやすくなること、取得条件が広がり日数などが拡大されるなど一定の前進面が評価できる。一方、育児休業改正の目的は働く女性の7割が妊娠出産を契機に離職を余儀なくされていること、また男性の子育てへの参加が進まない現状を踏まえ、子どもの健やかな成長を願う労働者が、不安なく男女ともに仕事と生活の両立ができることを支援するものでなければならない点を鑑みるとき、今回の報告では不十分な点も残されている。

 短時間勤務と時間外労働免除については、「小1の壁」問題もあり、研究会報告では小学校3年生終了まで延長することの検討も提案されていたことから見ても、ともに3歳までにとどめられたことは不十分である。また、企業がこれらの措置を導入するにあたって「一定の期間が必要」「人事労務管理の体制を踏まえて適用することが適当」とされているが、企業都合で取得が妨げられる制度とされかねない懸念もぬぐえない。また、審議会の中でも「製造ライン勤務」「交代制勤務」「特別な営業職」「繁忙期」などの適用除外も議論されてきた経過があるが、中小企業をふくむすべての企業がすみやかに法改正に基づいた措置をとることができるよう、国による助成措置もあわせて検討すべきである。

 男性の子育て参加を促進する措置についても、男性の育児休業の取得率が今だ1.56%にとどまっている中、小手先の制度改正では改善されない。専業主婦(夫)除外規定がなくなることは当然であるが、男性の育児休業の取得が進まない大きな原因は、所得保障の不備と勤務評定などにもとづく不利益取り扱いが行われていることによるものである。分科会の中でこうした労働者の状況をふまえた議論がほとんどなされてこなかったことは、問題である。不利益取り扱いについては均等法との整合性も提案されているが、今後、内容に踏み込んだ議論進める必要がある。

 また、子の看護休暇、短期の介護休暇についても一定の改善がなされているが、子ども一人あたりの日数5日では大変不十分である。全労連女性部の07年妊娠・出産育児に関わる実態調査では、子どもが病気のために保育園に預けられなかった日数で最も多かった回答は6〜10日が26.7%、次いで11〜15日20.5%という実態が明らかになっている。また、子どもの成長にとって、保育園・学校などとの連携は不可欠であり行事参加のためにも使える制度とすることが必要である。家族の介護のための短期の休暇も新たに設けられたが、介護保険制度がいまだ不十分ななか、また自宅介護が奨励される政策のもとではあまりにも短すぎるものと言わざるを得ない。

 以上の問題点を踏まえて、全労連は法改正にあたって、以下の点について育児休業法の実効ある改正を求める。
 (1)育児休業の期間を子が3歳に達するまで延長すること、(2)子どもの看護休暇の対象を、家族的責任を果たすための休暇に拡大し、1年につき有給で10日以上とし、子どもの人数に応じた日数にすること、(3)介護休業の取得期間を延長し、1日単位・時間単位など、「短期の介護休暇」制度を設けること、(4)育児・介護休業中の所得保障については、国と事業主の責任で休業前の賃金の3分の2以上とすること。(5)昇給・昇格、一時金・退職金などの決定にあたっては、妊娠・出産のための休業及び育児・介護休業、短時間勤務制度の取得期間については、勤務したものと見なすことなど不利益取り扱いを厳格におこなうこと。(6)子どもの看護休暇、短時間勤務制度、時間外・休日・深夜労働免除措置の対象となる子の年齢は義務教育終了前まで引き上げることなどである。
 また、仕事と生活の両立、少子化の解消のためには長時間労働の解消、雇用不安なく、生活出来る賃金が保障されることが必要である。全労連は、働くルールの確立を求めるとりくみと合わせ、育児介護休業制度の改善の運動を強める決意である。

 以上

 
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