【談話】政府のソマリア派兵決定に抗議し撤回を求める
2009年1月28日
全国労働組合総連合
事務局長 小田川義和
政府は、1月28日、ソマリア沖の海賊対策のために自衛隊を派兵することを決定し、これを受けて浜田靖一防衛相は海上自衛隊に準備指示を出し、2月中に発令、3月にはソマリア沖で任務につく動きである。海賊への対応について、十分な議論も検討もせず安易に自衛隊派兵を決定した政府・与党に強く抗議し、派兵決定を撤回するよう求める。
政府・与党は、自衛隊法の「海上警備活動」を根拠に自衛隊を派遣した上で、「海賊対策新法」を制定することをねらっている。海上警備活動は、日本近海での領海侵犯事件を念頭においたものであり、それを根拠に自衛隊をソマリア沖まで出動させて「海賊対策」を行うことは、法の趣旨からの極めて乱暴な逸脱である。
政府が制定を狙う「新法」は、保護の対象の国籍を問わないとしており、これは政府が憲法上許されないとしてきた集団的自衛権の行使に道をつける重大な問題を有している。また武器使用も、これまでのイラク派兵等を含め「正当防衛」の範囲に限定していたものを、「任務遂行」にまで拡大しようとしている。憲法9条を乱暴に踏みにじるものとして許されるものではない。
ソマリア沖の海賊問題は、国家破綻の状況の下で生活に困窮した民衆の一部が海賊行為に走っていることが原因である。すでに国際海事機関の呼びかけで、周辺諸国は問題の解決のための協力について、検討と取り組みを開始している。先ず「自衛隊派兵ありき」ではなく、資金や技術援助を通して問題の解決に協力すべきである。憲法9条を守った国際協力こそ日本に求められる世界平和への貢献である。
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