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【談話】国家公務員法改正法案の閣議決定に抗議する

 本日政府は、幹部職員の人事管理の一元化と内閣人事局の設置、内閣総理大臣等を直接補佐する国家戦略スタッフ創設などを内容とする国家公務員法改正法案等を閣議決定した。政府は、昨年通常国会で成立した国家公務員制度改革基本法(基本法)の具体化法案と位置づけているが、決定された法案は、基本法の枠組みをこえ、憲法との関係でも問題のある内容となっている。
 この間、全労連公務員制度改革闘争本部は、法案策定作業にかかわって、その問題点を具体的に指摘し一方的な決定に反対してきた。政府が十分な説明責任もはたさず、一方的に閣議決定を強行したことに強く抗議し、法案撤回を求める。

 問題点の第1は、基本的な労働条件である賃金の決定基準、等級別定数の決定権を使用者・内閣総理大臣に移すことや、労働条件にかかわる人事院規則の制定、改廃についての内閣総理大臣の意見申出権を規定するなど人事院の「代償機能」を形骸化しながら、労働基本権についてはなんらの回復措置も講じないという労働基本権侵害の内容となっていることである。
 第2は、幹部職員等の人事管理権限を内閣総理大臣に集中し、政治による公務員統制を格段に強化しようとしていることである。法案では、検察庁や警察庁、会計検査院などの幹部職員は、政治による介入を避けて中立・公正性を維持する観点から、内閣総理大臣による一元管理の対象外とした。しかし、憲法第15条では、すべての公務員を国民全体の奉仕者であると規定し、中立・公正性を求めていることと矛盾している。
 第3に、営利企業への再就職規制を緩和した2007年の国家公務員法「改正」の修正がなされず、天下り自由化の誤りが是正されていないことである。
 第4に、大統領的な内閣総理大臣を構想し、国会に対する内閣の優位性を確立するために、国家戦略スタッフ等が新設されることである。このような形での内閣機能強化は、国会の相対的な地盤沈下を招き、議会制民主主義を形骸化させかねない。

 2000年代に入ってから今日まで延々と続く公務員制度改革論議では、公務員労働者の労働基本権を先送りしたままで使用者・政府の権限強化を図ること、人事院の機能と権限を規制すること、人事管理等も活用した政治主導を強めることが繰り返し課題となってきた。そのような公務員制度改革の意図は、90年代後半から強められた新自由主義的「構造改革」を推進する体制作りにあった。
 昨年来の金融危機も契機に、新自由主義の破綻とその反国民性、反労働者性が明確になっている今、公務員制度改革論議も一から見直し、憲法原則にそった民主改革に立ち返るべきである。その主張も含め、法案阻止のため、あらゆる取り組みを強める決意である。

2009年3月31日

全国労働組合総連合・公務員制度改革闘争本部
本部長  小 田 川 義 和

 
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