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【談話】道理のない人事院の一時金「特別調査」を中止せよ

 4月6日、人事院は、09年夏の民間一時金支給予定状況の「特別調査」をおこなうことを明らかにした。通常は、5月の連休明けから実施する民間賃金実態調査と一体でおこなうものを緊急に実施する理由を人事院は、09春闘期までの民間大企業の一時金妥結状況が大幅に低下したという「情勢変化」をあげている。
 しかし、2月段階から自民党の「国家公務員の給与の検討に関するプロジェクトチーム」が、民間企業での春闘期の一時金交渉が始まってもいない2月はじめから国家公務員の09年夏の一時金削減法案を検討していたこと、4月2日には同様の方針を与党プロジェクトでも決定したことなどは、マスコミ報道されている周知の事実である。
 この点に目を向けるならば、人事院が、政局がらみの公務員バッシングを目的に強まった政治的圧力に屈し、一時金支給の基準日である6月1日を念頭に、異例の「特別調査」に踏み切ったことは容易に推測される。
 そのような「特別調査」は、公務員労働者の労働基本権剥奪の代償措置としての中立性を自ら投げ捨てるものであり、厳しく抗議し、中止を求める。

 公務員の労働条件、とりわけ賃金について、民間との均衡原則が重視されなければならないことは言うまでもない。しかし、その均衡も短期間の変化に即応しなければならないものではなく、調査実施時期などによるタイムラグが生ずるのは当然である。調査コストを考慮しても、月例賃金などと同時に民間賃金実態を調査し、年間で官民の均衡をはかることには合理性がある。
 また、民間企業における一時金も、中小企業の多くは春闘時期に決着するものだけではなく、「特別調査」自体が中小企業の一時金交渉に否定的な影響を及ぼしかねない。なお、人事院は2004年に、民間一時金の調査方法を変更し、当該年7月までの支給実態を人事院勧告に反映させるように変更した経緯がある。時々の状況で調査を変更するご都合主義では、人事院への信頼はゆらぐ。
 さらに、小売業など内需型産業にとって09年夏の一時金商戦は、従来に増して重要な意味を持っていると考えられるが、それへの悪影響も懸念される。
 以上の点から考えても、「特別調査」は誤った判断であるといわざるを得ない。

 人事院は、3月末に閣議決定された国家公務員法「改正」法案に対し、労働基本権侵害の恐れがあるとして反対の立場を示した。その直後に政治的圧力に屈服して中立性を投げ捨てることは、一貫性に欠けることも指摘する。

   2009年4月7日

  全国労働組合総連合        
事務局長  小 田 川 義 和

 
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