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【談話】09年度補正予算を含む「新経済対策」の決定にあたって

 本日の閣議で政府は、過去最高の15兆円規模の補正予算を含む「新経済対策」を決定した。09年度予算成立から2週間余りしか経過していない段階で、巨額な予算補正を行うという異常事態は、目前に迫っている総選挙を強く意識した与党・自民党、公明党の党利党略によるところが大きい。
 その内容も、金融危機、経済危機の引き金を引いたアメリカの求める「対GDP比で2%規模の財政出動」に応え、国内の需給ギャップの解消を迫る財界の要望にそった15兆円の「規模ありき」の経済対策であることは明らかである。

 「雇用調整助成金」の積み増しや職業訓練中の生活費支援、公共施設の耐震化・予防保全対策など、雇用安定や安全対策として求めてきたものも含まれてはいる。
 しかし、子どもに3万6000円の特別手当を支給するという定額給付に引き続く税金ばら撒きや、「スーパー中枢港湾」・「羽田空港の滑走路延伸」・「高規格道路整備」など旧来型の大型公共事業に多額の税金をつぎ込み、金持ち優遇となる「生前贈与の非課税枠拡大」や大企業優遇税制である「研究費控除枠拡大」などの減税措置にも重点が置かれている。
 また、「省エネ家電の買い替え促進」や「省エネ自動車への買い替え補助金」などは、非正規労働者の雇止めを行いながら膨大な内部留保には手をつけようとしない電機、自動車などの大企業への形を変えた「補助金」となりかねない。

 緊急の経済対策は、経済危機、金融危機のもとで最も困難な生活実態に置かれている失業者や低収入の労働者とその家族、年金生活者、中小零細事業者や農漁民などに直接効果がいきわたる内容とすべきである。また、外需依存の経済構造の見直しが不可避となっていることをふまえ、環境関連の産業に雇用を創出し異動させるための施策に踏み出すべきである。
 その点で、消費税の食料品非課税や後期高齢者医療制度の廃止、就学援助の充実など経済的に困難な国民の負担軽減策を大胆に講ずるべきである。職と同時に住まいを失う労働者をなくすためにも、住宅支援や雇用保険制度改善などの所得保障策を強めるべきである。
 また、3月下旬のG8労働・雇用担当大臣会合でも合意されているように、働く貧困層解消のための最低賃金引き上げが必要であり、その実現のための中小企業支援策を具体化すべきである。「新経済対策」では、そのような点での対策が決定的に不足している。

 政府は、「新経済対策」実施のために国債増発をおこなうとしている。その前提には、2011年度からの消費税率引き上げをおいていることは明らかである。将来の増税をちらつかせた経済対策が、内需拡大につながる消費増につながるとは考えられない。未曾有の経済危機であることを政府が強調するのであれば、軍事費の大幅削減やグアムへの米軍基地移転経費負担の撤回など、不要不急の予算の執行停止策を同時に講ずるべきである。

 以上のような点での修正をもとに、「規模ありき」の補正予算編成はおこなわず、実効ある対策となるよう精査をおこなうよう主張する。

2009年4月10日

全国労働組合総連合
事務局長 小田川義和

 
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