政本日、政府は、育児介護休業法の改正のための「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び雇用保険法の一部を改正する法律」案を閣議決定し、国会に上程した。
はたらく女性の7割が妊娠・出産を契機に離職を余儀なくされ、介護を理由とする転職・退職者はこの5年間に50万人を超えている。また、経営悪化などを口実とした「育休切り」がおこなわれており、妊娠・出産後も安心してはたらき続けることが困難になっている。人間らしくはたらくルールが確立されない職場の状況下で「産みたくても産めない」という少子化の進行は止まっていない。育児介護休業法をはじめとする、労働諸法制の改正は喫緊の課題である。本法案の改正にあたっては、はたらく女性の実情を把握し、男女ともに仕事と生活を両立して働ける条件整備となる改正が求められている。
法律案では、男性の育児休業取得促進を目的とした対象と期間の拡充、短時間勤務制度の措置義務化、子の看護休暇の日数増、介護休暇制度の新設、休暇取得などに対する不利益取り扱いの罰則規定を設けるなど、一定の改善が図られていることは評価できる。
しかし、短時間勤務と時間外労働免除について、3歳までにとどめられたことは不十分である。「小1の壁」問題もあり、義務教育修了までとすべきである。また、子の看護休暇、介護休暇についても一定の改善がなされているが、子ども一人あたりの日数5日では大変不十分である。子どもの成長にとって、保育園・学校などとの連携は不可欠であり行事参加のためにも使える制度とすることが必要である。介護休暇も新たに設けられたが、介護保険制度がいまだ不十分ななか、また自宅介護が奨励される政策のもとではあまりにも短すぎるものと言わざるを得ない。
経済情勢を理由とした労働者の解雇・雇い止めが横行する中、妊娠・出産・育児に関わる権利の取得に対して、「育休切り」という形で解雇や雇い止めなどの不利益取り扱いが増大している。育休切りなどの法違反については、厳しく対応すべきものである。改正法に違反した企業に対する罰則は強化されているが、各県にある労働局・雇用均等室の充実など実効あるものとすることが求められている。
また、法の実効性を高める上で、企業への代替え要員の確保の経済的な保障、育児休業取得の際の所得保障の拡充など、労働者がより取得しやすい条件整備、中小企業をふくむすべての企業がすみやかに法改正に基づいた措置をとることができるよう、国による助成措置もあわせて検討すべきである。
全労連は、すでに実効ある法改正に向けた国会請願署名のとりくみをすすめている。安心して妊娠・出産し、子育てや介護をしながらも働き続けることができるよう、仕事と生活の両立支援となる改正を勝ち取るよう国会に向けた運動を強める決意である。