一 政府は6月10日に、地球温暖化防止の2020年における中期目標を「温室効果ガスを1990年度比マイナス7%」として公表しようとしている。全労連は、このような低い目標でなく、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の科学的見地で求める25〜40%の削減要求に基づき最低でも1990年度比25%以上の中期目標とすることを要求する。
一 地球温暖化は、地球上のすべての生物の生存基盤にかかわる全地球的課題である。にもかかわらず政府は、京都議定書で1990年比マイナス6%の削減に合意していたにもかかわらず、その実施を”産業界任せ”にしてきた。その結果07年度実績は、90年度比プラス9%と二酸化炭素の排出を増加させている。政府の責任が改めて問われている。そもそも政府内の検討委員会で示された6案は、粗鉄生産量は05年とほぼ同じ1億2000万トン、原子力発電は9基新設、輸送量は旅客が現状と同じ、貨物は10%増など最初から削減努力を行わない前提を課したうえの案である。日本経団連の主要な産業団体と関連7労働団体は新聞に意見広告を展開し、国民への脅しと併せて「プラス4%」の案を主張している。この行為は、個別企業・産業の利益に埋没し、社会的責任を投げ捨てていると指摘されてもいたしかたないものである。
一 地球温暖化は自然現象ではない。その責任の多くが大量生産、大量消費、大量廃棄型の社会経済活動にある。温室効果ガスを極力抑える低炭素社会・経済に根本的に転換すべきである。そして日本の温室効果ガスの半分を占める発電所や巨大な鉄鋼工場などの大口排出源に対する削減義務化と誘導政策に取り組むべきである。
一 経済活動から見ると労働者の雇用・働き方(働くルールのあり方)と密接な関係を持っている。ILOが提唱している「ディーセントワーク」を実現させ、雇用・賃金・労働時間などに対する法的規制が欠かせない。とりわけ過重な長時間労働や不要な深夜労働は、労働者の健康と安全、同時に環境負荷の高い働かせ方であり、営業規制も含めて対応措置が取られるべきである。
一 政府が決定する中期削減目標が、産業界言いなりの低い目標となるなら国際的にも孤立を深めることは必至である。また国際交渉のブレーキ役となり、地球の未来に対する犯罪的行為とも批判される。改めて、積極的な中期目標を決定することを強く求めるものである。