【談話】改正育児介護休業法の成立にあたって
6月24日参議院本会議で、育児介護休業法改正法案が可決成立した。働く女性の7割が妊娠・出産を契機に離職すること、男性の育児休暇取得が進まないことなどを改善する目的を持ち改正されたものである。成立した法案には、両親ともに育児休業をとる場合の休業期間の2ヶ月の延長、子の看護休暇を子どもが2人以上の場合は10日とし、予防接種などの適用拡大すること、3歳に満たない子を養育する労働者の短時間勤務・時間外労働の免除の義務化、短期の介護休暇の新設、均等法と同様の不利益取り扱いに対する公表・過料を含む罰則規定の強化などが盛り込まれた。また、審議の過程で不利益取り扱いの厳格化が求められ、罰則規定の施行期日が公布から3ヶ月以内に前倒しする前進的な修正が行われた。
アメリカの経済破綻が外需を頼みとする日本の経済にも不況をもたらし、昨年末から、「非正規切り」が社会問題化する中で、従来妊娠した女性に行われてきた「肩たたき」「身分の不利益変更」から「不況」を口実に表立って解雇する「育休切り」が横行し社会問題化した。改正法案の審議では、こうした労働者の実態が与野党を問わず問題視され、民主・社民・国民新党により育児休業中・後の労働条件等の労働者への明示の義務化など「育休切り」規制強化を盛り込む修正案が提出された。修正案では1人親家庭の子の看護休暇を1人につき10日にする、短時間勤務や所定外労働免除などの措置を就学前までとすること、共産党も男性の休業取得を促進する目的をもち所得保障6割とし、介護休業中の社会保険料免除制度の創設を修正案として提出した。これらの修正案は、真に男女ともに仕事と生活を両立させてはたらき続けるために必要な措置として、全労連が改正法案の審議に当たって要求してきたことが反映している。
衆議院では10時間、参議院では2時間という短時間の審議のなかでも、育休切りの実態、法律の施行を担保する均等室の体制の不備、保育所待機児童問題など様々な問題がだされた。問題が噴出したにもかかわらず、審議時間はわずかしかなく、その多くが付帯決議として、示されるにとどまった。政府・厚生労働省など関係機関は、付帯決議に示された課題を受け止めた政省令などの作成にあたるよう強く求める。
女性が離職せざる得ない状況を作り出す要因は、両立支援の未整備と長時間労働、低賃金・不安定雇用の増大など労働者の状態悪化によるものである。引き続き全労連は、真に男女ともに仕事と生活を両立させながらはたらき続けるために、仕事と生活支援の拡充、働くルールの確立に全力をあげて取り組んでいく決意である。
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