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【談話】水俣病被害者を切り捨て加害企業チッソを救済する特別措置法の強行に抗議する

2009年7月3日
全国労働組合総連合
事務局長 小田川義和

一 水俣病被害者の切実な声も聞かず自公・民主は、7月3日衆院本会議で「水俣病特措法案」を賛成多数で採択・成立させた。水俣病被害者を切り捨て加害企業であるチッソを救済する特別措置法の強行に全労連は、強く反対し抗議するものである。今国会では、水俣病被害者を救済するとして与党及び民主党双方が法案を提出していた。最近になって与党・民主党の密室修正協議が行われ、民主党はチッソの「分社化」を受け入れ合意した。これは加害企業のチッソを免責し、水俣病被害者救済の事実上の幕引きを行うことである。

一 与党・民主党の修正協議した法案の問題点は、二つある。第一は、04年の最高裁判決を踏まえた認定基準・対象が曖昧なことである。二つには、加害企業の「分社化」を認めることである。
 被害者救済にあたっては、77年の旧環境省の認定基準を否定し、幅広い救済を認めたのが04年の最高裁判決である。にもかかわらず公害健康被害補償法の基準の見直しに踏み込まず、曖昧な内容に終始している。
 加害企業チッソの「分社化」を認めれば、補償会社と事業会社に分社化し、子会社の事業会社の株を売って補償金に充当し清算すれば、加害企業の責任は消滅することになる。これについては朝日新聞も「これでは、あとから症状の出てくる潜在患者らが、今後補償を求めようにも、その時には加害者が存在しないという事態になりかねない」(7/1付)と痛烈に批判している。被害者団体の憤りも当然である。

一 このような法案では、“被害者救済でなく「加害企業救済法案」だ”と指摘されても当たり前である。修正協議が行われている最中の6月30日、熊本のノーモア水俣訴訟第16陣65人が熊本地裁に追加提訴し、原告総数は1,811人(熊本地裁)となった。この追加提訴の原告らは、自公・民主の密室協議に抗議の意思も示した。今年に入り、新潟県阿賀野川水域の水俣病被害者が国と昭和電工を相手に認定などを求めて国賠訴訟に踏み切った。多数を頼んで与党と民主党が「加害企業救済法」を強行成立させても、「公害の原点」と言われる水俣病被害者の全面救済の運動は終わるものではない。
 この間、一貫して水俣病被害者の全面救済の実現に向けて支援を続けてきた全労連は、引き続き企業責任と政府の責任を曖昧にせず、被害者の立場に立った支援を強化するものである。

以上

 
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