【談話】雇用対策の一段の強化とテンポアップを求める
政府は、11月16日の緊急雇用対策本部「貧困・困窮者支援チーム」で、求職中の生活困窮者に対する総合的な支援を紹介する「ワンストップサービス」をハローワークにおいて試行実施することを決定した。決定によれば、東京都、大阪府など15都道府県にある43のハローワーク、ジョブパークにおいて11月30日に予定されている。
完全失業率や求人倍率などの雇用関連指標の動向はもとより、全労連が実施しているハローワーク前アンケートでも、雇用状況の悪化と同時に雇用保険切れなどによる生活困窮者の急増が顕著になっている。冬季を迎え、事態が切迫している中でのワンストップサービス実施を歓迎する。同時に、試行に終わらせることなく、相談者にとってより使い勝手の良い内容で、問題が集中する年末・年始の時期にワンストップサービスが継続実施されるよう強く求める。
ハローワークでのワンストップサービスの実施にあたっては、関連行政機関である自治体からいくつかの問題が指摘されているといわれる。その主要な点は、(1)実施に必要な人員、体制、財政措置の不足、(2)とりわけ生活保護給付にかかわる自治体負担の重さ、(3)多様な問題を抱える相談者に対する一括対応の困難さなどである。これらは、「構造改革」強行の悪影響であり当然のことである。それだけに、問題の早期かつ根本的な解決に向けた国の積極的なリーダーシップが求められる。
生活保護を受けている国民は、その受給認定の厳しさなどにも関らず増加し続けており、160万人をこえている。09年9月の完全失業者数は363万人と前年同月比で92万人増加し、失業期間も長期化している。経済危機の影響を強く受けている中小零細企業の経営難も深刻となっている。一方で、エコ減税などの間接的支援を受けた自動車などの製造業大企業を中心に経営状況が改善してきていることは、政府発表の国内総生産速報からも明らかになっている。「内需なき景気回復」、「雇用なしの景気回復」の状況が進行していることは明らかである。この事態に対応した政府の対策の具体化が求められるが、現状は余りにも不十分である。
現状をふまえれば、(1)雇用危機、中小企業経営危機の原因を作る一方で数次の経済対策の効果を享受している大企業製造業に、労働者と下請け企業に対する社会的責任の履行を求めること、(2)雇用保険の期間延長、雇用調整助成金の要件緩和と延長など、即効性ある対策を早急に措置すること、(3)生活保護や職業訓練、生活支援にかかわる各種制度を十全に活用できるよう国が財政措置に責任を持つこと、(4)ハローワークや福祉事務所などの行政体制強化を緊急に措置し、年末年始のワンストップサービス継続をはかること、(5)困窮者支援に経験を持つ労働組合、市民団体、NPOなどと国・地方自治体と連携すること、などの対応を緊急に行うよう求めたい。
路上生活者が増加し、経済的理由による自殺者も後を絶たないなど事態は逼迫している。政府の緊急対応と、それに安易に頼らない企業の雇用責任の発揮を重ねて求める。
2009年11月17日
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