【アピール】
憲法9条の事実上の改憲につながる「国会法」の改悪阻止に向け、緊急の行動を強めよう
2009年12月22日
全国労働組合総連合
自由法曹団
憲法改悪阻止各界連絡会議
民主党政権下で、「憲法9条の解釈は内閣主導で」との発言が相次ぎ、新たな手口での解釈改憲の攻撃が重大化しています。
小沢幹事長は「脱官僚依存」をスローガンに「国会改革」を急いでいます。小沢氏は21世紀臨調に国会審議の活性化等について意見を求め、「提言」を受け取るや、自らが本部長の民主党政治改革推進本部で「国会法」改悪の原案を決定しました。これを受けて12月7日、民主、社民、国民新党の与党3党は、来年1月に開会される通常国会の冒頭に、法案を提出する方向で合意しました。
報道によると、法案は(1)政府参考人制度の廃止(2)内閣法制局長官の政府特別補佐人からの削除を通して、官僚答弁を禁止するものです。その焦点は、憲法解釈を担ってきた内閣法制局長官の答弁を禁じ、「政府による憲法解釈は内閣が責任を持って行う」(鳩山・11.2衆議院予算委員会)ことにあります。
内閣法制局の憲法解釈は、国会での論戦を土台に60年間、積み上げられてきました。その憲法解釈は、自民党政権の意向に即して自衛隊を「合憲」とし、自衛隊の海外派兵を容認する解釈改憲を極限まで進めるものでした。しかし一方で、憲法改悪反対の世論と運動の前に、憲法9条のもとでは、海外での武力行使、他国との武力行使の一体化は許されないとの見解を堅持するという側面も持ってきました。今回の「国会法」改悪は、内閣法制局長官の答弁を排除することにより、最終的には、この2つの制約を取り払う狙いがあります。憲法による権力制限という立憲主義の根本を踏みにじり、憲法99条の内閣の憲法尊重擁護義務を空洞化するものであり、絶対に許せないことです。
「国会法」改悪の下敷きとなっている経済同友会提言(2002・10)は、そのねらいを「首相がリーダーシップを発揮できるよう政権基盤を強固なものとし、永続的な改革を実現する政治の仕組みを構築」(同提言)するとしています。そして、(1)内閣と与党の一元化推進による首相のリーダーシップの確立、(2)マニフェスト選挙の実現と単純小選挙区制の導入、などを提唱しています。民主党マニフェストの衆議院比例定数80削減や鳩山内閣の基本方針等もまた、首相権限を強化し、国会の最高機関性を否定し、国会の審議機能や行政府監督の機能を形骸化しようとするもので、「提言」を具体化したものに他なりません。小沢幹事長主導の「国会改革」は、財界いいなりに、国民の未来を旧来の自民党政治の枠内に閉じ込め、強権的な支配体制の確立を狙うもので、決して許すことはできません。
私たちは、憲法9条の事実上の改憲につながる「国会法」等の改悪、首相権限を強化し、国権の最高機関としての国会の権能を踏みにじる、小沢幹事長主導の「国会改革」、民意を大きくゆがめ、少数政党を排除する衆議院比例定数削減に反対します。
通常国会に向けて、学習、宣伝を強め、政党要請に取り組むなど、緊急の行動をともに強められるよう、心から訴えるものです。
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