【談話】2010年度政府予算案の閣議決定にあたって
12月25日に政府は、2010年度政府予算税制改正大綱を閣議決定した。一般会計で総額92.3兆円と過去最大規模となる予算案は、税収見込みが37兆円、国債発行額が44.3兆円となる借金財政となり、歳出では税収不足を補填する地方交付税が17.5兆円、子ども手当新設などの民主党マニフェスト実施の経費増などで一般歳出が53.5兆円と2009年度当初予算をいずれも上回る内容となった。
「コンクリートから人へ」や「控除から手当へ」などが強調された予算編成では、公共事業費が18%減と大幅に削られたものの、軍事費や米軍再編経費増などで0.3%増となり聖域にメスを入れる予算組み替えとはならなかった。税制でも、子ども手当の創設と引き換えに中学生以下の年少者の扶養控除を廃止し、高校授業料無償化との関係で高校生以下の特定扶養控除を廃止する一方で、証券優遇税制の「特例10%」措置や研究開発減税の上乗せ措置などは継続とされ、大企業・大金持ち優遇税制には抜本的な見直しが行なわれなかった。「社会全体で子どもを育てる体制」などの理念は強調されるものの、アメリカの圧力に屈して軍事費を聖域化し、企業の国際競争力強化につながる成長戦力重視の予算編成をせまる財界・大企業に配慮した税制見直しが行なわれた結果、借金頼みで「税控除から手当への付け替え」にとどまる予算とない、理念とは程遠い結果となった。
このような中途半端な予算編成は、冷え込んでいる内需拡大効果も乏しく、深刻な貧困と格差の是正効果も期待できない。そのことは、雇用や生活の安定につながる予算編成、「垂直的な富の再配分」効果が期待できる税制改革を求めて全労連の主張からは程遠い。引き続き国会段階の取り組みを通じ、政府予算の問題点と従来型予算編成の限界を明らかにしていくよう力を注ぐ決意である。
2009年12月26日
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