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【談話】鳩山首相の辞任表明にあたって

 本日開催された民主党の両院議員総会において鳩山首相は、「社民党を政権離脱に追い込んだ責任」と「政治とカネに決別する民主党を取り戻す」ことを理由に、辞任を表明した。
 鳩山首相辞任の原因は、社民党が政権を離脱する直接的な契機となった普天間基地の辺野古沖移転の閣議決定にもみられるように、自らの公約をいとも簡単に投げ捨てて国民の期待を裏切る政権運営の行き詰まりに因るものと考える。国民と政権との間の矛盾が激化した結果の政権投げ捨てであり、それはこの数年の自公政治で繰り返されたことと大きな差異はない。
 国民の願う政治の実現に真剣に取り組むことなく、安易に公約を投げ捨て修正しながら、「看板の架け替え(政権のたらい回し)」で国民の批判をかわす政治を繰り返すことでは、政治に対する国民の信頼を低下させ、民主主義を危うくしかねない。公約破りと同時に、その点でも鳩山首相の辞任表明の「罪」は大きいと言わざるをえない。

 辞任の理由とされた「政治とカネ」の問題は、首相の辞任で済まされるものではない。「政治とカネに決別」すると言うのであれば、鳩山首相はもとより、民主党の役職を辞任することを同時に表明した小沢民主党幹事長など、この間疑惑が明らかになっている政治家が、その道義的責任も含め、事実解明に応じ、真相究明を表明すべきである。そのことなしの首相辞任は、「政治とカネ疑惑の幕引き」という茶番劇に堕すことになりかねない。

 昨年8月の政権交代に寄せられた国民の期待は、国民に痛みと我慢を強制しながら、一部の輸出大企業などの「儲けの自由」の最大化を図ってきた構造改革を転換する政治の実現であった。鳩山首相が自ら公言した「対等の日米関係」構築に向かうための第一歩として、国民、沖縄県民視線で普天間基地の無条件撤去に取り組むことであった。格差を是正し、貧困を解消することを目的に、社会保障を整備拡充する政治に転換することであった。
 これらの期待は、内需拡大よりも大企業の海外進出を重視する「新成長戦略」検討や、大穴付きの労働者派遣法「改正」法案の提出、消費税増税の一方での法人税率引き下げ検討と後期高齢者医療制度廃止の先送りなど、公約破りが次々に行われる中で、失望に変わった。
沖縄県民や鹿児島・徳之島島民の猛反対を押し切っての普天間基地の辺野古沖移転などの日米合意と閣議決定は、強い怒りを呼び起こさざるを得なかった。
国民の要求、負託と政権の政策決定とのねじれこそが、本日の鳩山首相の辞任表明の大本にある。政権党である民主党には、その点での真摯な総括と対応を強く求めたい。

 本日の鳩山首相辞任で、参議院選挙の争点も明白になった。国民要求に反する政治ではなく、大企業中心の構造改革からの転換を明確にし、普天間基地無条件撤去をアメリカ政府と交渉することのできる政治の実現が、参議院選挙での最大の争点である。
 全労連は、最終盤の通常国会での労働者派遣法抜本改正の実現などをせまるたたかいと一体で、7月11日実施で予定される参議院選挙での政治革新をめざす選挙闘争を強化する。

2010年6月2日

全国労働組合総連合
事務局長  小 田 川 義 和

 
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