【談話】東北関東大震災被災者、被災地支援に抜本的な予算の組み直しを
− 2011年度予算成立にあたっての談話 −
本日、2011年度予算が、憲法第60条(予算にかかる衆議院議決の優越)の規定により、参議院で否決された後に成立した。
政府が提出していた予算案も、その衆議院での採決も、3月11日に発生した東北関東大震災と東京電力福島原子力発電所での原子力事故の発生以前のものであり、被災者支援などの予算措置はなされていない。本来は、大震災等の発生をふまえ、被災者支援や復旧事業、原発事故被害対策などに歳出を集中させる抜本的見直しが必要であった。しかし、そのような点での国会審議は尽くされないまま政府原案の内容で成立した。そのことには、抗議の意思を表明する。
被災者、被災地支援や復旧、復興のための予算確保、雇用安定や失業対策などが早急に求められており、2011年度予算の組み替え、補正に速やかに着手するよう求める。
全労連は、2011年度予算政府原案について、法人税率5%引き下げや証券優遇税制の特例措置の継続などの大企業優遇税制を盛り込んでいることや、米軍への思いやり予算などの軍事費を聖域扱いしていることを問題視し、批判してきた。
予算組み替えにあたっては、これらの点の是正を求めるとともに、安全神話が壊れた原子力発電所新増設や高速増殖炉関連予算、子ども手当の増額分や高速道路の無料化予算の撤回を求める。また、公共事業費の内容を被災地復旧中心に組み替えるなど事業経費の無駄を削り、被災地の病院、学校建設や道路、港湾復旧に優先して回し、深刻化している雇用対策や中小零細企業・事業者支援、農林水産業振興対策に振り向けるよう求める。
震災復興には、新たに10数兆円規模の予算確保が必要だと言われている。その財源を確保するため、244兆円もの巨大な額にのぼっている大企業の内部留保や、136兆円の年金積立額の一部などを活用する「震災復興国債」を発行し、これらに引き受けを求めることを提案する。
政府などには、震災復興のための庶民増税を主張し、あるいは社会保障改革と消費税増税の「一体改革」に固執する動きでている。大震災によって家屋などの生活基盤を失い、仕事や収入源を奪われた労働者、国民が多数にのぼるもとで、さらなる痛みを強制する庶民増税には強く反対する。
被災者支援と被災地の早期復興、拡大する原発事故被害への補償と避難者対策は焦眉の国民的課題である。かつて政府は、リーマンショック後の経済危機に際し、1年間で4回の財政対策を措置した。今回は、その時以上の緊急事態であることをふまえたスピードと規模で、被災者、被災地支援の予算組み換えを行うよう重ねて求める。
2011年3月29日
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