【談話】参議院憲法審査会規程制定強行に抗議する
2011年5月18日
全国労働組合総連合
事務局長 小田川 義和
5月18日、参議院本会議で、賛成218、反対11(社民党・日本共産党)で、改憲原案の審査権限を持つ参議院の憲法審査会の規定の制定が、十分な論議も行わないなか、強行成立されました。この暴挙に私たちは、心より抗議の意思を表明します。
憲法審査会設置の根拠法である国民投票法は、最低投票率をもうけない、公務員・教育者の運動の規制、金で憲法をねじ曲げる有料意見広告を自主規制に委ねるなど、国民主権をふみにじる重大な問題点を持ち、本来法律で定められるべき重要な項目が付帯決議今後の検討に委ねられるなど、まともな法律でないことは明白です。これらは、国民の権利との関係で致命的欠陥であり、このような国民投票法によって定められた憲法審査会の規程を強行成立させることは、とうてい容認できません。
憲法の改定については、直近の朝日新聞の世論調査を見ても、憲法9条を「変えない方がよい」59%、「変える方がよい」30%で、国民の多数は戦争放棄を謳った憲法を変えない方がいいと考えています。4年前に強行された改憲のための国民投票法も国民の意思と乖離した立法であり、そのもとで存立するとされている憲法審査会が休止状態であっても何も問題もありません。
一部に、東日本大震災のような災害に対して、「憲法を変えなければ復興ができない」とか「憲法審査会を始動させるべき」とかの乱暴な主張があります。しかし、本当に必要なのは被災者の要求に基づく復興であり、上から押しつける復興では成功しないことは阪神淡路大震災の経験と教訓からも明らかです。被災者の苦労や、国策のもと被害を大きくしている原発被災者の苦しみを逆手にとっての憲法審査会の規定制定を強行したことは、断固として許せない暴挙です。
私たちは、戦争放棄や基本的人権を謳った日本国憲法は、世界に誇れるものであると確信するとともに、東日本大震災被災者の救援・復興に向けて、憲法13条と25条を中心に憲法を生かした政治をおこなうことを強く求めます。
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