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【談話】2011年人事院勧告にあたって

 本日、人事院は、月例給の0.23%引き下げ、一時金(特別給)の据え置きなどを内容とする賃金勧告と、65歳に定年年齢を引き上げるための制度整備についての意見の申出を行った。勧告、意見の申出とも、総じて、公務労働者の切実な賃上げ要求には正面から応えず、官民比較を過度に強調して、財界・政府の人件費抑制政策に迎合し、中高年者の賃金、労働条件を大きく引き下げる内容となっている。
 このような勧告は、労働基本権制約の「代償措置」としての人事院勧告制度の限界をあらためて示したものであり、国家公務員の協約締結権回復の法案が国会提出されていることもふまえ、法案の不十分さを修正したうえで早期に成立させ、憲法第28条の趣旨に沿った公務員労働者の基本的人権が速やかに実現されるよう強く求める。
 また、国会には、当事者である国公労連との合意もなく、政府が一方的に閣議決定した「給与臨時特例法案」が提出されている。制度的根拠もなく提出された同法案は、現行のルールに基づいて給与勧告が出されたことによって、その道理のなさがさらにはっきりした。不当な賃下げ法案の撤回を強く求める。

 勧告では、月例給について国家公務員の賃金が民間より0.23%高いとした。しかし、昨年来の民間賃金の動向を示す政府統計でも、国民春闘共闘委員会を始めとする各団体の春闘結果でも、今年4月時点の賃金が前年同期を下回っていることは確認できない。昨年勧告で0.19%引き下げられている国家公務員の賃金が、民間賃金を上回るとする勧告内容には疑問を禁じ得ない。
 特別給について、年間4.0月に改定できる調査結果でありながら、調査できなかった東北3県の状況を類推して改善を見送った。月例給では厳格に官民比較する一方、特別給では実態調査にもとづかず恣意的な判断を行ったことは、人事院勧告制度の変質と限界を示す端的な事実である。
 マイナス較差の配分は、40歳以上の中高齢職員の賃金引き下げに集中させつつ、給与構造改革の経過措置の廃止によって、さらに高齢者の賃金を引き下げようとしている。較差配分には、現行制度下であっても、労働組合の意見が反映されるべきであり、その点で、高齢者賃金引き下げに反対してきた当該の国公労連の要求が斟酌されていないことは認めがたい。

 なお、勧告と同時に行われた定年年齢を段階的に65歳に引き上げるとする意見の申出は、年金支給開始年齢の段階的引き上げにあわせた「雇用と年金の連携」をすすめる制度という点では評価できる。しかしながら、60歳以上の職員の賃金を、直前の70%に引き下げるなどの高齢期処遇の考え方は、年齢差別を助長するものであり、到底賛成できない。

 人事院も言及しているように、東日本大震災への対応に多くの公務員労働者が寝食を忘れ無定量な長時間労働に耐えながら、被災者の暮らしを一日も早く安定させるために奮闘している。
 公務・公共サービスの本来的役割を自覚し、高い職業倫理を発揮している公務員労働者の日々の奮闘に応えるためにも、政府は、「給与臨時特例法案」を撤回し、勧告をふまえた当該労働組合との交渉の上に公務員賃金を改善するよう強く求める。

   2011年9月30日

全国労働組合総連合
事務局長  小田川 義和

 
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