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厚労省 労働政策審議会労働条件分科会
【談話】「有期労働契約の在り方(報告)」について
入口規制を行わず、有期雇用の上限を5年とする不当・不十分な内容

2011年12月27日
全国労働組合総連合
事務局長 小田川義和

 労働政策審議会労働条件分科会は12月26日、1年余にわたって検討を続けてきた有期雇用規制にかかわる「分科会報告」をまとめ、大臣に建議した。
 具体的には、1)使用者側委員の反発で「入口規制」を見送るとともに、2)「出口規制」については、(ア) 5年を超えて更新した場合に労働者の申し出があれば無期雇用に転換する、ただし(イ)労働条件はそれまでと同一で、(ウ)6ヶ月の空白期間(クーリング期間)をおけばそれまでの有期雇用契約は通算されないとし、また、(エ)上限年数5年の手前での雇止め抑制策については今後の検討として先送りした。

 「入口規制」をおこなわず、上限5年等の「出口規制」では、有期契約労働者を上限年数手前で雇止めし、クーリング期間をはさんで、あるいは労働者を入れ替えながら恒常的業務を有期契約労働者に担わせ続けることが可能である。実際、自動車や電機をはじめとした大企業では、今も雇止め法理の適用を回避するため、2年数ヶ月の更新上限年数を定め、有期契約労働者を入れ替えながら恒常的業務を担わせる「有期雇用の濫用」が行われている。
 つまり、非正規労働者をはじめ、雇用破壊を正してほしいと願う大多数の労働者、国民の期待に背くものである。「雇用安定に向けて大きな一歩」(労働者側委員)とはとうてい言えないのであって、我々は断じて容認できない。

 使用者側は震災も口実にして、規制の強化が雇用に悪影響であるかのような主張を繰り返したが、事実はあべこべである。被災地では低賃金の短期雇用が横行し、「これでは暮らせない。復興もできない」という声が強くあがっている。震災だからこそ、雇用の安定が求められているのであり、本分科会に課せられていた課題も、ヒトを雇用の調整弁として使い捨てする有期労働契約の規制強化によって、非正規労働者の雇用の安定をはかることだったはずである。

 雇用は本来、「期間の定めのない直接雇用」が原則であり、合理的な理由がない場合には有期労働契約は締結できない「入口規制」が必要不可欠である。また、「入口規制」を補完するものとして、「利用可能期間・更新回数」の制限や上限を超える場合には無期雇用とみなすなどの「出口規制」をおこなうべきである。また、均等待遇原則の確立が必要である。
 今後、この「分科会報告」にそって労働契約法改正案が作られ、次期通常国会で審議されることになるが、全労連は、非正規労働者の雇用の安定と賃金・労働条件の改善に資する改正となるよう、継続審議となっている労働者派遣法改正案や労政審で検討されているパート労働法改正などとあわせ、正規労働者と非正規労働者が一体となって、改善に向けた大きな運動をつくるために全力を尽くすものである。

 
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